フジ「CM」が戻らないのも当然か 佐々木恭子アナ、10年前に「積極的に嫌われている」

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嫌われるフジ

 フジは相当前から嫌われていたと見る。J-CASTニュースが2018年5~6月に行った「嫌いなテレビ局アンケート」(総投票数・1014)によると、投票総数の32.7%をフジが占めた。ダントツでワーストだった。

 理由はいろいろと考えられる。まず1982年から93年まで12年連続で視聴率3冠王を達成した。全日帯(午前6~深夜0時)、ゴールデン帯(午後7~同10時)、プライム帯(午後7~同11時)の3部門すべてでトップに立った。第1期黄金期である。

 2004年から10年までも3年連続で3冠王を成し遂げた。もっとも、その後は長く低迷したまま。それなのに民放の盟主を気取り、自己検証番組「週刊フジテレビ批評」(土曜午前5時半)でテレビ界全体の未来を考えているのには違和感をおぼえる人もいるはず。他局は鼻白んでいる。

 また、盟主気取りは焦りを生んだ。1993年に3冠王を日本テレビに奪われると、フジは猛批判される番組、やらせ番組を続けて生んだ。たとえば島田紳助氏(68)がMCを務めていた情報バラエティ「ウォンテッド!!」(1998年)である。紹介されたVTRの真実性が強く疑われた。

 その1つが「悪徳看護師」である。意識のない患者を看護師が暴行する場面などが放送された。現場の看護師たちは驚き、日本看護協会は強く抗議した。

「愛する二人別れる二人」(1998年)はやらせと確定した。この番組は問題を抱える夫婦が登場し、芸能人に叱ってもらうのだが、うち1組は偽夫婦だった。妻役の女性がうつ気味で、自死したことから判明した。

 この時、フジを含めテレビ界と深い関係にあった放送評論家は「視聴者もやらせと分かって観ていたのだから同罪」と言い切った。視聴者を同罪にするのだから、とんでもない解説だった。

 2020年には恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演したプロレスラー・木村花さん(没年22歳)が自死した。この問題では第3者委員会の設立が求められたが、つくられなかった。

 こういった問題を徹底調査しなかったことが、澱のように溜まり、フジへの強い不信感につながり、さらに中居氏を中心とする問題の深刻化を防げない組織にしてしまったと見る。

 番組内で自社映画を大々的に宣伝するようになったハシリもフジである。「南極物語」(1983年)だった。

 日枝氏が編成局長のころだ。放送の公共性より組織の利益を優先する体質が続いてしまっているのではないか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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