規格外のバナナで火を起こす!? バーベキューに便利な「バナナ炭」とは

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 近い将来、バーベキューのお供にはバナナが必須に? フルーツの生産・加工・販売を手がけるドールが、バナナを炭化して利用する取り組みを始めた。今年3月の商品化を目指す。

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規格外のバナナが“炭”に

 ドールはフルーツロスの削減を目指し、皮の傷やサイズのばらつきなどの要因で規格外とされ廃棄せざるを得なかったバナナを活用する「もったいないバナナプロジェクト」を2021年9月に開始した。4年目を迎えたプロジェクトの目玉が昨年10月に発表会でお披露目された「バナナ炭」なのだという。

「どういうネーミングで出すと親しんでもらえるか。バナナが原料であることを打ち出せば、規格外のバナナをさまざまに利活用していることをいろんな人に知ってもらえるかな、という狙いもありました」

 とは同社「ドール拡大推進室」の出田大樹室長だ。主な栽培地であるフィリピンでは干ばつや洪水などの異常気象で規格外のバナナが増加。ドールは規格外品が年間2万トン規模にも及ぶとしており、利活用する重要性が高まっている。フィリピンでは近年、規格外バナナを炭化し、土壌改良剤として使用するようになったこともヒントの一つとなった。

コメダ珈琲店でも活用

 プロジェクトではまず、規格外バナナを冷凍状態やピューレにして加工品に使用してもらう取り組みから始めたところ、「コメダ珈琲店」や「東京ばな奈」など、多くの企業でこれらの加工原料が使われた。23年は年間900トンの規格外バナナを利活用することに成功した。昨秋からは規格外であることを了承してもらった上で、生のバナナをオフィスに届け、栄養補給の新習慣としてもらうことを狙う「オフィス・デ・ドール『もったいないバナナ』」にも注力している。

手軽に火起こし

 バナナ炭の特長は燃焼のしやすさだ。備長炭などは着火しにくい分、長持ちするが、バナナ炭は手軽に火を起こせるため、「バーベキューなどではすぐに食材を焼けるし、途中で足す分にもいい」(出田氏)という。また一つ一つの炭が軽いため、持ち運びも楽だ。そのほか、脱臭調湿剤や飼料添加剤としての活用も検討されている。

「バナナがそのままの形で炭になっているので、形状を見ながらバーベキューを楽しんでほしい」(同)

 バーベキューに出かける際は、「バナナ持った?」が合言葉になる日が来るのだろうか。

週刊新潮 2025年2月20日号掲載

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