「北朝鮮に対する戦術はシンゾーに聞こう」 なぜ安倍元首相はトランプ大統領に深く食い込むことができたのか【日米首脳会談】

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信頼関係構築の場となった「ゴルフ」

 首脳会談の際、日本の首相は外務省などが事前に相手国の事務方とすり合わせてお膳立てされた内容を「儀式」として最終確認するのが常だった。一方、首脳同士が信頼関係を構築し、本音を引き出すことを重視した安倍元首相。トランプ大統領と直接会話を交わすのに格好の場となったのが、ゴルフだった。

「ゴルフは安倍さんとトランプさんの共通の趣味で、特にトランプさんは“ゴルフは人生”“重要なディールはゴルフで結んできた”というほどゴルフを重視しています。二人はコースを回る間やカートの中で、直接話す時間をたくさん持ってきたのです」(前出の岩田氏)

 17年11月、安倍元首相は初来日したトランプ大統領と埼玉県川越市にある霞ヶ関カンツリー倶楽部でラウンドを共にしている。

「この時はトランプさんがファンだという松山英樹プロも参加。そのスイングを目にしたトランプさんは“見ろ、彼の下半身を! 全く動かないぞ”と興奮していたといいます」(同)

トランプ大統領に気に入られた理由

 予期せぬアクシデントも起こったという。

「安倍さんがバンカーでいきなり後方にひっくり返ってしまい、すぐにすっくと立ち上がった。トランプさんはその出来事をいたく気に入っていました」

 岩田氏はそう話す。

「後の首脳会談の際、トランプさんは“シンゾーは世界レベルの体操選手だ。バック転が素晴らしかった”とジョークを飛ばし、安倍さんも“あそこはシンゾーバンカーと呼ばれている”と切り返して場を盛り上げていました。転んでも動揺せずに立ち上がり、それをジョークにするトランプさんに対しても気の利いた切り返しができる。こうした部分も安倍さんが気に入られた理由の一つでしょう」

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