「北朝鮮に対する戦術はシンゾーに聞こう」 なぜ安倍元首相はトランプ大統領に深く食い込むことができたのか【日米首脳会談】

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「シンゾーは偉大な友人だった」

【前後編の後編/前編からの続き】

 運命の巡り合わせは皮肉なものだ。今月7日に行われた、ドナルド・トランプ大統領(78)と石破茂首相(68)による初の日米首脳会談。準備万端でその場に臨み、波乱なく終えられたのは首相の“天敵”だった故・安倍晋三元首相の「遺産」のおかげだというのだから。

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 前編【石破首相は「“行きたくない”と感じているようだった」日米首脳会談 「及第点」を取れた理由とは】では、今回の日米首脳会談が大きな波乱なく終えられ、“及第点”を取ることができた理由について触れた。

 一方のトランプ大統領は会談冒頭で安倍元首相の銃撃事件に触れ、

「シンゾーは偉大な友人だった。あれほど悲しかったことはない」

 と語るなど、安倍元首相の名前を何度も口にした。

「異例中の異例の措置」

 そして、会談の通訳を務めたのは、安倍元首相の英語通訳だった外務省の高尾直・日米地位協定室長。トランプ大統領から「little prime minister」(小さな首相)と呼ばれて親しまれている人物だ。

「高尾くんは単に英語がうまいだけではなく、声とテンポがすごく良いんですよね。私が赴任していたオーストラリアでも、アボット元首相が高尾くんの通訳は素晴らしかった、とよく絶賛していました」

 元駐豪大使の山上信吾氏はそう語る。

「瞬発力が必要でアドリブにも即対応しなければならない通訳はものすごい重労働で、普通は課長補佐くらいの若い人にやらせるんです。高尾くんはすでに室長なので、普通だったらもう通訳はやらせない。そんな彼を総理通訳に付けたというのは、異例中の異例の措置で、それだけ外務省は全力で石破総理を支えたのです」

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