「1カ月で1000円以上の上がり幅」 フジの株価が“爆上がり”している理由 専門家が指摘する“最悪のシナリオ”とは

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「山高ければ谷深し」とは相場の格言だが、逆もまたしかりということか。今や誰の目にも凋落が明らかなフジテレビ、その親会社であるフジ・メディアHDの株価が急騰しているのだ。社員も首をかしげる“逆転現象”の裏にある、投資家たちの思惑とは。

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 世間に衝撃を与えた中居正広(52)の女性トラブル報道から、既に2カ月近くがたつ。この間、騒動の渦中に置かれたフジテレビは「やり直し会見」などでガバナンス不全を露呈し続け、深刻なスポンサー離れを招いた。

「日産やホンダなどの大手をはじめ、70社以上がCM放映を見合わせました。この影響でフジテレビの放送収入は想定より233億円の減収となり、25年3月期の決算で赤字に転落する見込みです」(全国紙経済部記者)

 無論、親会社であるフジ・メディアHDもタダで済むはずがない。

「業績予想を大幅に下方修正し、同期の最終利益が98億円に落ち込む見通しだと発表しました。100億円を割り込むのは15年ぶりと、苦境が見て取れます」(同)

 減収の余波は番組制作にも及び、1月末には半世紀以上続く名物特番「FNS歌謡祭」の中止が報じられた。2月に入ってもスポンサーが戻って来る気配は見られず、夏の「FNS27時間テレビ」の制作まで危ぶまれているのだ。

「1000円以上の上がり幅」

 そんな中、同HDにとって一筋の光明とも取れる報せが「市場」から舞い込み、関係者をざわつかせている。

「件(くだん)の報道で低迷していたフジ・メディアHDの株が、1月中旬ごろから高騰し続けているのです」(フジテレビ社員)

 大炎上した港浩一前社長の会見の前後から上がり始めると、大荒れとなった「10時間超会見」を経ても伸び続け、2月10日までに1000円以上の上がり幅を記録したのだ。

 先の社員はこう訝(いぶか)る。

「民放5社の中でもウチは株価が長年伸び悩み、最近では日本テレビとTBSに時価総額で水をあけられていました。それが今や4位のテレビ朝日を大きく引き離し、日テレやTBSにも迫る勢いなのです。今の状況を考えれば、不可解と言うほかありません」

 一体何が起こっているというのか。

 経済アナリストの森永康平氏は、同HDの「PBR」(株価純資産倍率)に着目すべきだと解説する。

「PBRとは、その企業の株価が資産価値に対して割高か割安かを判断する指標です。本来なら1以上であるはずのこの数字が、フジ・メディアHDでは約0.6しかありません。これは1万円入った財布が6000円で売られているようなもので、異常な状態なのです」

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