「調整順調」と伝わる「巨人・田中将大」 多くの移籍選手が縛られた“ジンクス”を乗り越え、復活することはできるのか!?

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 プロ野球の春季キャンプも終盤に入り、オープン戦や練習試合が増えてくる時期となった。各球団で注目を集めるのはルーキーや移籍組といった新戦力だが、これまでの実績をみると、楽天を自由契約となり、巨人に入団した田中将大に最も注目が集まっている。【西尾典文/野球ライター】

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順調な調整が伝えられる田中将大投手

 昨年は状態が上がらず、プロ入り18年目にして初となる0勝に終わったものの、ここまで積み上げてきた日米通算の勝利数は197勝。史上4人目となる日米通算200勝達成も目前に迫る。

 昨年オフに楽天を退団した時は、球団最大の功労者が去るということで大きな話題となった。その後、巨人は、年俸1億6000万円プラス出来高(推定)で獲得したことからも、田中に対する期待値の高さがうかがえる。

 春季キャンプでは、ここまで順調な調整が伝えられており、2月17日はライブBP(実戦形式の打撃練習)に登板した。巨人の球団関係者は、田中の存在感の大きさを感じている。

「昨年は、2023年オフに右肘をクリーニング手術した影響でなかなか思うような投球ができなかったようですが、今年は、その影響は感じられません。昨年、菅野智之の復活を支えた久保康生巡回投手コーチの指導もあって、フォームが安定してきています。他球団から巨人に移籍してくると、報道陣や関係者の多さに戸惑うことも多いようですが、田中に関しては、高校時代から常に注目されてきており、メジャーで一番の名門球団、ヤンキースで長くプレーした経験があるので、メディアに“耐性”があるところも強みですね。(昨年限りで)メジャーへ移籍した菅野の穴を“全て”とは言わないまでも、ある程度は埋めてくれるのではないか。そういう期待感が大きいと思いますね」

 第1クールが終了した2月4日にはコーチを含めた投手会が行われ、田中も自身のインスタグラムにその様子をアップしている。若手選手から“マーくん”ではなく、“マーさん”という愛称で締めの挨拶を求めるコールが起こるなど、チームに溶け込んでいる様子が伝わってくる。

 しかしながら、復活への道は決して簡単ではないという見方もある。その一つが、近年、現役晩年に巨人へ移籍した選手で、成績を残した例がない点だ。

巨人移籍後のベテラン選手に「成功例」は多くない

 過去10年で、巨人に移籍したベテラン投手(メジャー復帰組を含む)の成績を並べてみると、以下のようになった。

・上原浩治(2018~2019年在籍)
36試合0勝5敗0セーブ14ホールド 防御率3.63

・岩隈久志(2019~2020年在籍)
一軍出場なし

・山口俊(2021~2022年在籍)
16試合2勝8敗0セーブ0ホールド 防御率3.47

・三上朋也(2023年在籍)
22試合0勝1敗0セーブ7ホールド 防御率4.60

 この中では、上原が復帰1年目に14ホールドをマークしたが、翌年は開幕から調子が上がらずに、5月には早くも引退を表明している。そのほか、岩隈は故障で一度も一軍に昇格できず、山口と三上もかつての輝きを取り戻せなかった。

 野手を見ても、中島宏之(2019~2023年)が5年間在籍し、2020年は100試合に出場して83安打と、まずまずの成績を残している。しかし、2023年に加入した松田宣浩は12試合の出場でわずか1安打に終わり、その年限りでユニフォームを脱いでいる。現役選手は、2023年に広島から無償トレードで復帰した長野久義が代打や外野のバックアップとして奮闘しているとはいえ、トータルで見れば、成功例は限られてくる。

 これには巨人という球団独特の事情があるのではないかと、前出の球団関係者は指摘する。

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