北朝鮮兵がロシア兵を殺害して“指名手配”に…「与えられない食料」、「無謀な突撃命令」、「ドローン攻撃に晒される映像が公開」という極限状態での凶行か
食事で芽生える殺意
ところがロシアに派遣された北朝鮮兵は、軍服も武器も食料も全てロシア軍から与えられている。これでは生殺与奪の権を握られているに等しい。北朝鮮兵は普段から相当なプレッシャーを感じているはずだ。
そもそも軍隊の士気と食事には密接な関係がある。戦場はもちろんのこと、平時の軍隊でも大きな影響を与えるという。
「陸上自衛隊が演習を行ったとします。防衛大学校を出たばかりという新人の小隊長が温食の手配を忘れたら大変なことになります。部下の隊員は落胆し、駄目な小隊長の烙印を押されてしまい、信頼感を失ってしまいます。それほど食事は重要なのですが、とはいえ最前線となると状況が変わってきます。兵站能力の高い先進国の軍隊でも、最前線で温かい食事が取れるほどきめ細かい補給を実施するのは、なかなかできません。もし最前線で貴重な温食をロシア兵だけが食べ、それを北朝鮮兵がじっと見ているような状況が生まれれば、これだけで殺意が芽生えても不思議はありません」(同・軍事ジャーナリスト)
戦場に展開している軍隊は、食事の痕跡を残さないのがセオリーだという。なぜなら敵軍に重要な情報を与えてしまうからだ。
「もし敵軍が食事を取った後を見つけたら、兵士の数や部隊の行動予定など、貴重な情報が浮かび上がります。そのため世界各国の軍隊は食事を終えると必ずゴミを回収するのですが、どうもロシア軍は違うようなのです」(同・軍事ジャーナリスト)
戦死直前の表情がネット上で公開
ロシア兵が退却し、放置された塹壕を撮影した動画が公開されたことがある。彼らは汚らしく食事を食い散らかし、至るところにゴミを捨て、全く後片付けをしないのだ。
「全体の印象として、ロシア兵は“がっついて”食事を取っているようなのです。つまり充分な補給を受けておらず、空腹に苦しんでいるのでしょう。最前線のロシア兵は自分たちの食い扶持を確保するだけでも精一杯ということになりますから、足手まといの北朝鮮兵に貴重な食料を分け与えるとは思えません」(同・軍事ジャーナリスト)
北朝鮮兵はクルスク州の最前線で“受難”という言葉でも足りないほどの残酷な仕打ちを受けている。何しろロシア兵の楯になっているのだ。
「最前線で最初にウクライナ軍に向かって突撃するのは北朝鮮兵です。韓国政府は1月、北朝鮮兵の戦死者は300人、負傷者は2700人を超えると発表しました。全滅覚悟の無茶な突撃が原因なのは言うまでもありませんが、ウクライナ軍がドローンで北朝鮮兵を攻撃していることも大きいでしょう。その様子は撮影され、ネット上に動画が公開されています。北朝鮮兵が戦死する直前、驚愕の表情を浮かべるところまで鮮明に映し出されており、相当に衝撃的な内容です。ロシア兵にも同じ攻撃を行っているはずですが、ロシア国民の戦意が高揚することを恐れて公開していないと考えられます」(同・軍事ジャーナリスト)
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