令和ロマン・高比良くるまの謝罪動画が成功した一番の理由 「吉本に主導権を握らせなかったスマートさ」

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 オンラインカジノでの賭博疑惑で事情聴取を受けたと報じられた、令和ロマンの高比良くるま(30)。直後にコンビのYouTubeチャンネルに謝罪動画をアップするなど、スピーディーな対応が称賛されているが、ライターの冨士海ネコ氏は「吉本に主導権を握らせなかった」ことが、炎上対策が成功したカギだと分析する。

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 芸人といえど、大手を振って「飲む・打つ・買う」とは言えなくなったコンプラ時代。オンラインカジノでの賭博容疑で、事情聴取を受けたと報じられた吉本芸人たちの周辺は瞬く間に騒がしくなった。ダイタク・吉本大さん、9番街レトロ・なかむら★しゅんさんに続き、大いに注目を浴びたのはとろサーモンの久保田かずのぶさんと令和ロマンの高比良くるまさんの名前である。どちらもM-1覇者、特にくるまさんは史上初の連覇を遂げた最も勢いある若手芸人として人気を得ていただけに、もったいないという落胆の声も聞かれた。

 M-1出場時は徹底して傾向と対策を練ったといい、著書『漫才過剰考察』も売れているくるまさん。慶應大学中退という経歴も含め、屈指のインテリキャラという見方をしていた人は多いだろう。M-1当日に競馬で100万円負けたという逸話もあり、舞台では爆発的な存在感を見せるが、インタビューなどでは淡々と的確に言葉を選ぶ姿は実に器用で芸達者。そのクールな姿勢が今っぽいと支持される一方で、なんとなく鼻もちならないと反発される向きもあった。もっと言えば、たとえ悪事の嫌疑をかけられてもうまくすり抜けるような、要領の良さそうな感じが際立っていたことも否めない。ひとつ対応を間違えば、「計算高くて嫌な奴」という烙印を押されることになっただろう。

 芸人人生の危機、乗るかそるかの一発勝負。でもくるまさんは、結果的に「勝った」のではないだろうか。違法という認識については「グレーだと思っていた」と答えたと報じられたが、その翌日に公式YouTubeで謝罪。オンラインカジノをしていた事実を素直に認め、すぐ頭を下げたという対応の素早さは、お茶の間の「お許し」を引き出し、炎上を最低限にとどめたのではないか。さらに19日には当面の芸能活動自粛を発表したことで、くるまさんに対する批判はだいぶトーンダウンした。

 今では「すぐに出演番組を中止したメディアの弱腰ぶり」「違法ではないと思わせるオンラインカジノ広告の問題」など、次なる悪者探しに世間の目は向き始めている。 

 やっぱりくるまさんは、頭の良い人だと改めて思う。そして今回の「勝因」は、所属事務所である吉本興業にリスクマネジメントを任せなかったという点が大きいのではないだろうか。

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