「日産は人体でいえば“膝下まで壊死”」 ホンダが日産を見放した理由とは
「膝下まで壊死」
モータージャーナリストの岡崎五朗氏が言う。
「日産の取締役会は、さながら既得権益を守りたい人たちによる『互助会』の様相です。ホンダは今回、そうした日産経営陣の“危うさ”に気付いてしまったのでしょう」
さかのぼれば26年前、日産はルノーに“救済”された過去がある。経済ジャーナリストの井上久男氏は、
「当時『われわれは日本を代表する会社だからつぶれるはずがない』と構えていたら、あっという間に倒産寸前までいきました。そこでゴーンがやって来て大手術を施したわけですが、今回も日産には『(歴史の浅い)ホンダなんかに……』といった思い上がりが見られます」
としながら、
「日産の自力再建は望むべくもなく、人体でいえば、すでに膝下くらいまで細胞が壊死し、もう少しで膝上まで到達しそうなイメージ。下半身を切り取らないと全身に毒が回ってしまう状態です。ゴーンは“外科医”としては優秀でしたが、内田社長には切る勇気もノウハウもありません」
米国のテック企業が日産に触手を伸ばす?
その上で、今後は四つのシナリオが想定されるというのだ。かねて台湾の電子機器受託生産大手の鴻海(ホンハイ)精密工業が日産の買収を画策しており、
「まずは鴻海が本格的に動き出す可能性。次に統率力が問われる内田社長が辞任して新体制となった日産が、あらためてホンダと再交渉を始める可能性もあります。三つ目にホンダと鴻海が組み、日産を引き込むというシナリオも想定できます」
さらには、
「米国のテック企業も日産に触手を伸ばしているといいます。例えばアップルやエヌビディアは、自社でハード面は開発できず、自らの技術を試す車が欲しい。両社とも時価総額は3ケタ兆円ですから、日産はお買い頃。買収が失敗しても“誤差の範囲内”でしょう」
はたして「技術の日産」の行く末は――。