38万円で凍結できた卵子は5個……「小池百合子都知事」が後押しする「卵子凍結」のメリットとデメリットとは
健康であっても「凍結」する必要があるのか――。小池百合子東京都知事が肝いりの政策として発表したのが「卵子凍結」への助成制度だ。都が開催する説明会に希望者が殺到しているというが、当然、メリットもデメリットもある。専門家と体験者が語ったその内実とは。
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過去最低を更新した出生率、加速する人口減少。日本の行く末に暗雲が垂れ込める中、出産を希望する人にとって、有効な選択肢の一つになり得るのか――。
「私は卵子凍結をして、良かったと思っています。凍結した卵子があれば、妊娠の可能性は低いかもしれないけどゼロにはならない。それまでモヤモヤしていた不安が軽減されて、トレーニングなどやるべきことに一生懸命取り組めるようになりました」
そう語るのは2022年の北京冬季五輪にフィギュアスケート・アイスダンス日本代表として出場したフィギュアスケーターの小松原美里さん(32)。アイスダンスでペアを組む小松原尊氏と結婚後、一昨年7月、都内のクリニックで採卵し、凍結保存した。
いま、彼女が選択した「卵子凍結」に大きな注目が集まっている。
そのきっかけは東京都の小池百合子知事だった。
一昨年9月、東京都が卵子凍結をする女性に対し、最大30万円を助成する制度の開始を発表したのだ。30万円の内訳は凍結した初年度に上限20万円、その後、年2万円を最長5年間、助成するというもの。希望者は都の説明会に参加する、などがその条件だったが、参加希望が殺到。初年度の助成対象200人に対し、説明会には約7600人が参加する事態となった。それを受け、都は24年度の助成規模を10倍の2000人に拡大。今年1月半ばの時点で説明会参加者は約4400人となっている。
また、タレントの指原莉乃など、著名な芸能人が卵子凍結をしたと公表し、話題になったことも認知度上昇に一役買った。
「行政による取り組みがスタートしたことで、働く女性の間で卵子凍結への認知度が急速に拡大しています」
とは、はらメディカルクリニックの宮崎薫院長。
「東京都が卵子凍結を後押ししているのであれば、医師の側もそれをサポートすべきでは、という空気感が醸成されています。卵子凍結をする医療機関は東京都内で以前は15施設程度だったのが、現在は70施設ほどに増加しているほどです」
もっとも、それほどまでに“過熱”する卵子凍結は、子を持ちたい男性や女性にとって必ずしも「救世主」であるとはいえない。そこにはメリットもデメリットもある。
そもそも卵子凍結とはどういう医療行為なのだろうか。まず把握すべきは、卵子凍結は未受精卵子の凍結を指すということだ。
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