「肌をみずみずしく保つビタミンが豊富」「食物繊維はゴボウの4倍」 最強のアンチエイジング食材・あずきの超健康効果

ドクター新潮 ライフ

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研究の結果たどり着いたレシピ

 まず、小豆300グラムをフライパンの上で中火で2~3分ほど乾煎(からい)りします。色が黒ずんできて、少し香りが立ってきたところで火を止めるのがポイントです。それ以上、乾煎りすると焦げてしまうからです。また、乾煎りすることで渋味のもととなるタンニンの分子構造が変化し、渋味が感じられなくなるのですが、そのタンニンは小豆の表面から0.数ミリのところにしか存在していないため、焦げさせない程度の乾煎りで十分なのです。

 次に、乾煎りした小豆を鍋に移し、そこに500ccの水を加えて強火にかけます。沸騰したら一度火を止め、新たに100ccの水を加える。いわゆる「びっくり水」と言われるもので、こうすることによって小豆の皮の表面が伸び、水分を吸収しやすくなります。そして、再度沸騰させたら弱火にして、ふたをした上で水気がなくなるまで煮る。指で強くつまんでつぶれるくらいの煮崩れしない状態になれば完成です。

 この作り方だと、渋味も低減しているのに加え、小豆が煮汁の水分を全て吸収するため、健康効果に優れた小豆に含まれる成分を、煮汁として捨てることなく丸ごと生かせます。作る時間もトータルで40分程度ですから簡単ですし、一度作ったら1カ月くらい冷凍保存できるため、何回も料理に使える便利さも兼ね備えています。

大豆より“格上”

 こうして作った煮小豆を、例えば米の上に乗せて炊く。煮小豆自体が水分を含んでいるので、米を炊く際の水分量は普段と変える必要はありません。ただ小豆を乗せるだけで、栄養たっぷりの小豆ご飯の完成です。

 あるいは、煮小豆をサラダやマリネにトッピングしたり、ミートソースのひき肉代わりに使ったり、ミネストローネに混ぜるのもお勧めです。小豆の食味は、意外にも酸味のあるトマトとよく合うのです。さらに、小豆には含まれていないビタミンCやβカロテンがトマトには豊富なため、栄養的によい組み合わせでもあります。ぜひ小豆とトマトとの相性を味わってみてください。

 小豆は「古事記」「日本書紀」に登場し、古来、日本人に愛されてきた食材です。太陽などを連想させる赤い色から、古くは「魔除け」として使われ、日常的に食されてきた大豆が「ケ」の食材だとしたら、赤飯に象徴されるようにおめでたい席などで食べられる「ハレ」の食材として扱われてきました。その意味では、小豆は大豆より“格上”の食材だったともいえます。

 魔除けの力はともかく、科学的に絶大な健康効果が明らかになった現代、食卓で小豆が大豆に負けない“地位”を取り戻すことが、ひいては現代人の健康長寿にもつながるはずです。

加藤 淳(かとうじゅん)
名寄市立大学前副学長。1958年生まれ。帯広畜産大学大学院修了。農学博士。豪州クイーンズランド大学、北海道立総合研究機構・中央農業試験場などで豆類の品質、加工適性、健康機能性について研究。昨年3月まで名寄市立大学教授兼副学長を務め、現在はホクレン農業協同組合連合会農産事業本部農産部雑穀課の特任技監。『最強のあずき力』『「小豆の力」はなぜスゴイ?』『あずき毒出しスープ』などの著書がある。

週刊新潮 2025年2月13日号掲載

特別読物「最強のアンチエイジング食材 『あずき』の超健康効果」より

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