「女子大」の人気低迷が叫ばれるなか…なぜ中学受験では「名門女子校」が高い人気と偏差値を維持しているのか

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女性がリーダーシップを発揮できる場所

「中学受験の関係者とお話をした際、興味深いことを教えてもらいました。中高の男子生徒はメタ認知能力(客観性)が低く、自己肯定感は高い。逆に女子生徒はメタ認知能力が高く、自己肯定感は低いという傾向が認められるそうです。となると、共学校に通う女子生徒は自己肯定感の強い男子生徒に圧倒され、よほど自分に自信がある人以外、自己肯定感が下がる可能性も。私は小学校の時に男子児童にいじめられたこともあり、あのまま共学校に進学していたら自己肯定感は下がりっぱなしでした。中学から女子校に通うことで男性の存在を気にせず、自由に行動できるようになったことは大きいと思います」(同・辛酸さん)

 女子校の場合、当たり前だが生徒会長も部活のリーダーも全員が女性だ。一般社会以上に、女性がリーダーシップを積極的に発揮することが求められる場所。それが女子校だと言える。

 人気と偏差値の高い中高一貫教育の女子校は、東大に進学する生徒が多いことでも知られている。一方、昨年に出版された『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』(江森百花、川崎莉音・著/光文社新書)は、地方で暮らす女子高校生は資格取得を重視する傾向があり、自己評価が低く、浪人を避ける安全志向が強いことを明らかにした。

今後も存在感を発揮

 首都圏や関西圏の女子校は、そうした地方に根強く残る旧弊な女性観とは無縁であり、だからこそ人気を集めているのかもしれない。

「女性が自己を表現することを応援し、女性として生き抜く力を育むという土壌が女子校にはあります。最近は東大だけでなく、欧米の名門大学に進む女子生徒も増えていることからもそれは明らかでしょう。確かに私たちが社会に出た頃は、女子校出身者は『気が強く、男勝りが多い』とか『飲み会でお酌したり、サラダを取り分けたりせず、気が利かない』と揶揄されたものです。しかし今、女性にそんなことを求めたり、面と向かって口にしたりする男性は減りました。まさにジェンダー意識が広まったためであり、それが回り回って女子校の高い評価につながっているのではないでしょうか」(同・辛酸さん)

 中学受験で人気の女子校に通う生徒は比較的、精神年齢が高い女子が目立つことも“女子校に通うメリット”のようだ。

「女子校は『人間関係が複雑』というイメージを持っている方もいるかもしれません。率直に言って、私が中学生の時は派閥の人間関係に悩んだこともありました。しかし高校生になると人間関係は非常にすっきりしました。精神年齢が高く、何事にも達観した同級生が圧倒的多数だったからです。こうした雰囲気があるからこそ、女子校は『本当の自分を探せる場所』なのだと思います。また校名に“ブランド力”のある女子校も少なくなく、これも生徒の自己肯定感を育み、人間としての成長にプラスに働くはずです。女子校は今後も強い存在感を発揮するのは間違いないと考えています」(同・辛酸さん)

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デイリー新潮編集部

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