「女子大」の人気低迷が叫ばれるなか…なぜ中学受験では「名門女子校」が高い人気と偏差値を維持しているのか

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偏差値の高い女子校

 その一方、中高一貫教育を行っている名門女子校に目を転じると、全く違う光景が出現する。特に中学受験で女子校は不人気どころか人気を維持しており、高い偏差値を誇る学校が少なくないのだ。中学受験の大手塾として知られる四谷大塚の公式サイトに掲載されている「偏差値一覧」を見てみよう。

 女子が受験できる中学のうち、偏差値トップは渋谷教育学園幕張(1次:1月22日)の72で共学校だ。「男女別学から男女共学へ」という時代の趨勢を読み解くことも可能だろうが、偏差値71には女子校の桜蔭(2月1日)、さらに70の豊島岡女子学園(2月3日・4日)が続く。

 女子学院(2月1日)は偏差値69、雙葉(同)は67で、やはり桜蔭を含めた“女子御三家”は不動の人気を誇っていることが分かる。また神奈川県にある洗足学園(2月1日)も偏差値は66で、女子校人気は東京都内だけではないことも浮かび上がる。

 関西でも人気が高い女子校は存在する。四天王寺(医志:1月13日)が偏差値65、神戸女学院(1月13日)が偏差値63という具合だ。

 人気低迷が伝えられる女子大を尻目に、中学受験ではいまだ女子校が強い存在感を発揮しているようだ。

男女“不平等”の温存

 この矛盾とも思える現状をどう解釈すればいいのか、“女子御三家”の女子学院のOGである辛酸なめ子さんに話を聞いた。

「私は少なくとも中高一貫教育を行っている女子校こそ、ジェンダー平等の意識を育むことができる教育の場だと考えています。つまり小学生女子が共学の中学校に進学した場合、知らず知らずのうちに“男子中学生に対して従属的な役割を担う女子中学生”になってしまう可能性があるのではないでしょうか。女子校はこれまで旧弊な女性観を打破するような女性を輩出してきましたし、その伝統が社会から高く評価されています。だからこそ中学受験で女子校の人気は高いのだと思います」

 言うまでもなく中高一貫教育校には12歳から18歳までという非常に多感な時期の生徒が通う。共学の一貫校は一般社会と同じように男女間の様々なパワーバランスが生徒たちにも影響を及ぼす。確かに多様性が担保されているのは事実だろう。その一方で「生徒会長は男子中学生、生徒副会長は女子中学生」というジェンダー不平等が温存されている共学校も目立つようだ。

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