「結婚したい! 子どもが欲しい!」堂々宣言して実現させた「ママ芸人」が持つ魅力

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劇場に託児所

 横澤はパワフルな情熱の人であると同時に、自らの思いを貫く信念の人でもある。子供を持つ親にも気軽にお笑いを楽しんでほしいという思いから、お笑いの劇場に託児所を設けたいと考えていた。所属事務所の吉本興業もそんな横澤の提案を受け入れて、大宮ラクーンよしもと劇場に簡易託児所が開設された。

 自分の子供のためにリトミック(音楽を通して子供の感性・表現力を育てる教育法)の資格を取り、それを仕事にも生かそうとしている。いずれは吉本の劇場の託児所で子供を相手にリトミックの先生をするのが夢なのだという。

 女性芸人になるような人は、どこか屈折したところがあったり、コンプレックスを抱えていたりする人が多く、そういうところがその人の芸の魅力になっていたりもする。

 でも、横澤には良い意味でその種の屈折や照れがなく、素直に育っている。まっすぐに目標に向かい、それを達成するとすぐさま次の目標へと向かう。仕事と家庭の両立という難しい課題にも立ち向かい、日々悩みながらもそんな自分の本音を堂々と発信して、ママタレントとして支持や共感を得ている。

「男勝りでパワフルなタイプの女性タレント」というのはこれまでにも存在していたが、女性が女性のままで堂々と力強く生きているというのがタレントとしては新しい。横澤は新時代のママ芸人としてこれからも人気を保っていくだろう。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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