「おむすび」低迷に見えたNHK朝ドラの限界 “令和の能年玲奈”の起用は無理なのか

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変わる“朝ドラヒロイン”の位置づけ

 そもそも14年前期「マッサン」の玉山鉄二(44)などの例外はあるものの、朝ドラの場合は「女性を主人公にすることがほぼ伝統になっている」(NHK関係者)のはなぜか。

「まず、作中で描かれるさまざまな問題に対し、直感的に『おかしいものはおかしい、正しいものは正しい、間違っているものは間違っている』と純粋に言えるのは、若い人なのだと思います。そうした主張は制作側の言いたいことでもあるわけですが、若い女性の姿を借りて発信することで“中和”する狙いもあり、そういった点で朝ドラは若い女性を起用することが多いのでしょう。朝ドラのヒロインというのは“ひまわり娘”だと言われてきました。いつも、おてんとさまを向いている人 がヒロインにふさわしい、というわけです」(前出のNHK関係者)

 かつては大竹しのぶ(67)、小林綾子(52)、沢口靖子(59)、藤田朋子(59)、さらには国仲涼子(45)や宮地真緒(41)、池脇千鶴(43)、比嘉愛未(38)と言った面々が、朝ドラ出演をきっかけに世間から注目されるようになった。近年では13年前期「あまちゃん」の能年玲奈(のん、31)が出世頭の代表格だろう。また15年後期「あさが来た!」ではオーディションでは落選も、制作側からの要望で出演、結果大化けしたという吉岡里帆(32)などもいる。

 出演すれば知名度が上がる朝ドラは、その後の映画や民放のドラマへの起用も見込まれることから「新人女優の登竜門」と位置付けられてきた。しかも基本的に「清純」な役どころだから、演じる女優の印象も良くなる。1年、半年のスパンで放送していることもあって、他の連続ドラマに比べて収録が長期間になる。経験を積ませる養成所的な側面もあった。

 だが近年の朝ドラについて「すでにある程度の人気がある女優を起用するケースが圧倒的に増えた」と悲観する声は少なくない。例を挙げれば「なつぞら」の広瀬すず(26)しかり、「スカーレット」の戸田恵梨香(36)しかり、22年前期「ちむどんどん」の黒島結菜(27)……。

 劇団を主宰する演出家は、

「毎年、オーディションの応募用紙が届きますが、基本的にヒロインには大手の芸能プロに所属していないと受けられないのが現実です。しかも、オーディションも形ばかりで、実は6~7社の持ち回りで決めているとも噂されています」

 と打ち明ける。確かに、近年のヒロインの所属プロダクションを見ると、研音やアミューズ、ホリプロ、ソニーミュージック・アーティスト、エイベックス・マネジメントなど大手に集中してはいる。明らかに偏った人選と言い切るほどでもないが、各事務所のブレイク中の女優が選ばれ、かつてのような「登竜門」という色彩は薄まっていることも事実だ。逆に「人気女優のステップ・アップ」的な場として、朝ドラヒロインが使われていると言ってもいいのかもしれない。今後の朝ドラの「あんぱん」の今田美桜はいわずもがな、以降の高石あかり、見上愛も、すでに認知度のある女優たちだ。

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