猫2000匹にマイナンバー?「マイニャンバッジ」制度スタート 事故・迷子リスクに期待

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 群馬県のとある町で、人間への「マイナンバーカード」ではなく、“お猫様”向けの「マイニャンバッジ」の交付が、2月22日の「猫の日」に始まる。健康保険証としての利用が進められながら、いまだ賛否渦巻く状況のマイナンバーカードに対し、マイニャンバッジは普及し、はたまた他の自治体にも広がっていくのか。

猫の屋内飼養を“努力義務”に

 マイニャンバッジの交付を始めるのは群馬県南東部に位置し、工業も盛んな大泉町。ブラジルやペルーからの外国人居住者が多いことでも知られる町だ。ただ、町内の飼育頭数が多いなど「猫」にまつわる特段の事情があるわけでもない。背景には、県が昨年4月1日に改正施行した「群馬県動物の愛護及び管理に関する条例」がある。

「県の動物愛護条例の改正内容にはいくつかあるのですが、猫の飼い主の遵守事項として、『飼い猫の屋内飼養の努力義務を規定』というものがあります。これを含む努力義務規定については、昨年10月1日から施行されました。これを受けて、大泉町でもできることはないか、と検討した結果、飼い猫の登録制度を作って室内飼育を啓発し、制度化していこうということになりました」

 こう説明するのは、大泉町の都市建設部環境整備課の担当者。この制度では、飼い主の住所や氏名、電話番号とともに、愛猫の名前や種類、年齢、性別、避妊手術の有無に加え、毛の色や長さ、しっぽの長さなどの特徴を登録する。さらに飼い主が「適正飼育宣言『愛猫へのお約束』宣言書」に署名する。署名すると、愛猫の写真を使った缶バッジ(マイニャンバッジ)が交付される、という仕組みだ。

昨年12月に行われた町長会見で制度案の概要が発表され、今月配布の町の広報紙にも、町民への周知を図るため、「マイニャンバー制度」について掲載された。

「猫の日」に登録スタート

 登録の開始日は「猫の日」の2月22日だが、閉庁日である土曜日にあたるため、受付はオンラインでスタートする。町役場環境整備課の窓口では、祝日明けの2月25日火曜日から受付を開始する。すでに、猫を飼っているとみられる町民からの問い合わせも来ているというが、そもそも町内にはどれぐらいの猫が飼われているのだろうか。

「実は、町内の飼い猫の頭数は全く把握できておらず、想像もつかない状況です」(環境整備課の担当者)

 これではどのぐらいの作業量になるのかも不明だ。ただ飼育頭数を推し量る術はあって、犬の飼育頭数は狂犬病の予防注射の状況から約1,500頭に上るという。ペットフード協会(東京)の全国犬猫飼育実態調査の最新の2024年の実態調査によれば、全国で犬は約679万頭、猫約915万頭が飼育されている。猫は犬のおおよそ1.35倍の頭数が飼われていることになり、それを大泉町の犬の飼育頭数から推察すると、猫は約2,000頭ほどの飼育頭数、ということにもなりそうだ。

とはいえ、猫は多頭飼いしている飼育者も多く、町内でどの程度の飼育者が新制度の登録に訪れ、どれだけマイニャンバッジが交付されるのかは全くの未知数という。

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