世田谷、目黒、品川区などが危ない? 東京の下水管危険エリアはどこか【八潮・道路陥没事故】

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「100センチを超えるような陥没も……」

【前後編の後編/前編からの続き】

 まるで“底なし沼”のような穴が、捜索隊の行く手を阻む埼玉・八潮市の道路陥没事故。その原因と目されるのは老朽化した下水道管である。実は同様のリスクを抱える管は全国各地に存在するが、中でも危険なのが東京23区。その実態と対策を以下にお届けする。

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 前編【「発生した硫酸が下水管を腐食させる」「マンホールが多い場所は要注意」 八潮・道路陥没の三つの不運】では、今回の事故の主たる要因について、専門家に解説してもらった。

 今回の事故を受けて、国交省は同規模の下水管を持つ全国の自治体へ緊急点検を指示し、その結果を今月7日までに回答するよう求めた。わが街の下水道は大丈夫なのかと、不安に思う方も多かろう。

 事実、国交省がまとめた「下水道管理メンテナンス年報」(令和5年度)によると、下水道管が原因となった道路の陥没は、令和4年度だけで約2600件も発生しているのだ。

 社会部デスクが解説するには、

「陥没といっても、大半のケースは道路上に50センチ未満の小さな穴ができたというものでしたが、100センチを超えるような陥没も2%起きていることが報告されています」

インフラ老朽化の最前線

 今回、国交省の緊急点検の対象になった自治体の一つである東京都は、全国でもいち早く下水道が整備されたことで知られる。

 今から61年前の東京五輪開催が契機となり、公共インフラが整ってきたわけだが、下水管は耐用年数の点で更新期を迎えつつある。いわばインフラ老朽化の最前線と言っても過言ではない。

 都の下水道局がまとめたデータを見れば、老朽化は一目瞭然。気になるのは23年の時点で、23区全体の下水道平均経過年数が38年、再構築(交換や補修)が未実施のものに限ると51年となっていることだ。

 埼玉の事故原因と目される42年前の下水管と比較しても、果たして安全性は大丈夫なのか。同様の事故が起きないかと心配になってしまうのである。

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