超多忙でも「みのもんた」が銀座に通い続けた理由…“不遇の時代”に実父がポツリとつぶやいた「ありがてえ」の意味

  • ブックマーク

「ありがてえ」

 この父親とのエピソードの教訓は「どんな辺鄙な街に行ったとしても、働く男の泊まる宿のそばには飲ませてくれる店がある。だから頑張れ」ということ。

 正男さんは飲みながら、ポツリとこう言ったという。

「こんなにありがてえことはないじゃないか」

 92歳で亡くなるまで、酒をこよなく愛した人だった。いつも「ありがてえ」と言いながら、飲み干したコップを逆さにして、最後の一滴まで手のひらに垂らし、それを両手で顔にこすりつけていたという。酒飲みの鑑のような父親がいたからこそ、後々のみのがある。

 テレビに進出するのは40歳を前にして「プロ野球ニュース」(フジテレビ系)から土日出演のオファーがあったのがきっかけ。同番組を足場に「午後はまるまる おもいッきりテレビ」(日本テレビ系)や、「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS系)など月~金の帯番組のMCを担当し、06年には「1週間で最も長時間、テレビの生番組に出演する司会者」としてギネスに認定された。

 人気者になり、大忙しの中でも、みのは「ありがてえことじゃないか」と、銀座通いを続けていたのだろうか。

峯田淳/コラムニスト

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。