フジ凋落は本社移転が始まりのワケ 社屋&レインボーブリッジ推しと「8」への執着で転落
“特権階級”の意識も
そもそも新社屋移転にあたっては、当初から不吉な噂が飛び交っていたという。
「風水や方角占いによると移転の方角が悪いというのです。河田町から見て台場は南東に位置するため移動の吉凶を判断する気学では“暗剣殺”(あんけんさつ)という最凶の方位に当たります。こんな呪いを恐れた一部社員は台場への移転に乗り気ではなかった」(スポーツ紙記者)
悪い噂を払拭するかのようにフジは移転後、何かにつけて「レインボーブリッジ」を大々的にPR。代表作としては木村拓哉と松たか子主演の月9ドラマ「ラブジェネレーション」(1997年)や、映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003年)が有名で、その他の番組にもフジ新社屋やレインボーブリッジの映像が頻繁に盛り込まれた。
それもこれも台場移転を先導した日枝久社長(当時)への忖度が多分に含まれていた。しかも、台場に聳えるピカピカの新社屋の上層階からは東京タワーや中央区、千代田区のオフィスビル群が一望できることから、ある種の“特権階級”になったような意識を社員に植え付ける効果があったかもしれない。手狭で通路がくねくねと迷路のようだった旧社屋は、さながらワンダーランドのようでテレビマンにとっては良い環境だったのではないか。
一方、新社屋問題と並んでフジ凋落のきっかけになったと指摘されているのが2011年の地上波デジタル放送移行に伴うチャンネル番号の変更だ。テレビ朝日は「10チャンネル」から「5チャンネル」に、テレビ東京は「12チャンネル」から「7チャンネル」に変更された。一方、フジは「8」にこだわった。
フジテレビ関係者がその悪影響をこう指摘する。
「『8』を捨てられなかったフジは番組表で大きなハンディを背負うことになりました。新聞のラテ面やリモコン操作によるテレビ欄の位置はライバル局の右端に移ってしまい、まるで番外地のようです。テレビ朝日の視聴率が近年順調なのはチャンネル番号の変更で番組表の中央に配置され目立つようになったからでしょう」
なぜ、当時の日枝社長や“日枝シンパ”の幹部は「8」にこだわったのか。
「日枝さんが社長に昇任したのが1988年で毎年8月8日は『フジテレビの日』と決めています。東証一部上場は97年の8月8日でしたし、96年には『平成8年8月8日8時8分8秒』と8が6つ並ぶ瞬間を迎えるカウントダウンも実施。定例社長会見が行われる大会議室にはバカでかい富士山の絵画が飾ってあります。富士山頂部には“八葉”と呼ばれる8つの峰があり、仏教の八葉蓮華や末広がりの“八”を象徴しています。こういうわけでフジには『8』を手放す発想がまったくありませんでした」(前出のフジテレビ関係者)
末広がりどころか前代未聞の不祥事発覚で大凶の災禍にあるフジテレビ。今年の8月8日はどんな運命が待ち受けているのか――。
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