NHKがスクープした旧ジャニーズ性加害、証言者は「交通費2000円を受け取り、帰ってしまったことも」 NHKサイドから「損害賠償請求も検討」と脅しめいた話が
NHKがスクープとして報じた故・ジャニー喜多川氏による性加害は、法廷でどう判断されるのか。2月10日に千葉地裁で開かれた口頭弁論は、そんな視点でも注目されていた。
旧ジャニーズ事務所「SMILE-UP.」(以下、スマイル社)が原告で、被告はトイレ内で性被害に遭ったとして被害申告と補償請求を続けていた男性(40)。提訴は昨年10月である。
「スマイル社は、男性の申告内容に客観的証拠との矛盾があるので被害事実が認められないと判断。補償金を支払う義務がないと訴えた裁判でしたが、この日は被告側が請求を認諾し、ものの2分で閉廷しました。モヤモヤが残る形で裁判が終結したのです」
と、社会部デスク。
「請求の認諾とは、原告の主張が正しいと認めて訴訟を終わらせる手続きです。当事者間の争いが消滅するため、裁判所は判決を行いません。ところが閉廷後、男性の代理人弁護士が声明を出しました」
声明は男性側の姿勢を示したもので、
「“性被害に遭ったという申告内容に変わりはないが、スマイル社に損害賠償義務がないことは争いません”“長期間にわたって裁判を続ける心理的負担が耐え難い”といった内容でした。認諾したのに男性の申告内容に変わりはないとは、一体どういうわけでしょう」
法廷でモヤモヤが解消される可能性は閉ざされた。一方で、男性の被害証言をスクープしたNHKと男性の関係までうやむやにしていいのか、という声がある。
「交通費だけ持って帰り、連絡がつかなかったことも」
声の主は、すでに被害補償を受けたジャニーズJr.のOBだ。
「被告男性は事務所に所属していたわけではなく、“高校3年生だった2002年秋ごろ、東京・渋谷のNHK放送センターでオーディションやレッスンに参加し、ジャニーさんからトイレの個室に呼び出されて被害に遭った”と申告した。23年9月のことです」
男性は一時期、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」に入っており、
「当事者の会のメンバーと情報共有するうち、平本淳也代表(当時)に勧められてNHKの取材に応じました。そして23年10月、NHKは『ニュース7』で“20年ほど前にNHK内トイレで複数回性被害に”とセンセーショナルに報じた。12月の『クローズアップ現代』でも放送され、多くのメディアが取り上げました」
この間、男性はスマイル社側との面談を行ったが、
「証言内容にブレが多く信ぴょう性に疑問符が付いた。被害時期をはじめ放送センターへの入館手続き、トイレの間取りも不明瞭だったのです。これらの面談の途中で、被告男性はスマイル社側から支給された交通費2000円を持って帰ってしまい、連絡がつかなくなったこともあったそうです」
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