「ソフトバンク」のパ・リーグ連覇に暗雲? 正捕手「甲斐流出」だけじゃない、他球団も指摘する“不安要素”とは

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「自分がソフトバンクのスカウトだったら嫌だ」

 他球団のアマチュア担当スカウトは、こう話す。

「育成ドラフトで入った選手がせっかく支配下になってある程度結果も残したのに、育成での再契約を打診されて退団したとなれば、その選手を担当したスカウトは辛いですよね。我々スカウトは、アマチュアの指導者や親御さんからその選手を『預からせてもらいます』と頭を下げて指名するわけですから、そちらにも合わせる顔がありません。自分がソフトバンクのスカウトだったら嫌ですね」

 ソフトバンクは四軍制を導入しており、多くの育成選手を抱えていることから引退後は必ずグループ会社への就職を紹介するなど手厚いケアを行っているという。こうした事情もあって、育成ドラフトでもソフトバンクであれば指名するという選手は存在していた。

 だが、ここ数年は育成ドラフトで入団して結果を残しても、なかなか支配下登録されないこともあって、「ソフトバンクの育成だけはNG」というアマチュア選手も出てきているという。アマチュア選手やアマチュアチームの指導者サイドからすれば、そういう判断をするのも、ある意味、当然と言えるのではないだろうか。

 世界一の球団を目指してあらゆる面に投資をしているソフトバンクだが、周辺を取材しても、上手く回っていない部分があることは確かである。このような課題をどのようにして解消して再び常勝軍団を築くことはできるのか。今後の動きに引き続き注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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