「二階王国」ついに終焉? 「不倫でお詫び」の3男が参院選公認も、「世耕弘成」が対抗馬擁立の可能性 地元からは「ひ弱なお坊ちゃん」と呼ばれ

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資質に疑問

 それにしても、なぜ世耕氏はここまで強気に出るのか。それは望月氏が出れば、“勝てる”算段があるからだ。

「二階家の地盤は、旧和歌山3区のあった県中部、そして紀南地方が中心です。一方、参議院は全県区。有権者の半数は和歌山市を中心とした和歌山1区にいますが、二階氏はこちらの方にはほとんど地盤がありません。ここでの勢力は、全県区での選挙を5回も戦っている世耕氏が優勢です。世耕さんが望月さんを“私の後継者です”と言えば、組織はすぐに動き出す状態です」

 今回とは3年違いの改選の参院選で、自民党から出て当選を重ねているのは、鶴保庸介・元沖北担当相。本来なら、彼が奮闘しなければならない。しかし、

「彼と親密な不動産会社の女社長が、無所属で出馬するつもりで、挨拶に回っているのです。彼女が出てしまえば、鶴保は何をやってるんだ、との声も出てきかねない」

 同選挙区では、立憲民主党が村上賀厚氏の擁立を既に決定。他の野党の方針は未定だが、野党がまとまる可能性もある。参政党の林元政子氏も立候補を表明。保守が分裂すれば乱戦となり、伸康氏にとっては大きな痛手だ。

 それに加えて、何より、二階ジュニアの資質に疑問符が付きつけられている。

「先の選挙では、本人は自分が連れてきたスタッフに主に選挙を仕切らせた。しかし、やはり経験が浅く、うまく回らなかったんです。一方で、長らく地元で父の秘書をやってきた二階氏の長男は、かねての後援者を動かしたのですが、この両者の動きがバラバラで、一体感がまったく取れなかった。これが惨敗の大きな要因です。しかし、選挙後、未だにその総括どころか、後援者への挨拶や御礼も満足に果たしていません」

父親頼み

 それに加えて、昨年12月には、伸康氏の不倫が「週刊ポスト」によって報じられた。伸康氏は妻がいながら、10歳年下の銀座の会員制バーのママと交際していたというものだった。

「本人は妻とは離婚協議中だったと弁明しています。それはともかく、全マスコミ注目の選挙であったにもかかわらず、伸康さんは石破総理が来た応援演説の会場に、不倫相手を招いているのです。その後は自分の所有する和歌山市内のマンションに泊まらせている。何たる脇の甘さでしょうか。報道後は、どこに挨拶に行っても、その謝罪から始めています。印象が悪すぎる。はっきり言えば、お坊ちゃん育ちでひ弱すぎるんです」

 候補者として決定した前述の県連拡大役員会の際も、名誉顧問の俊博氏は会場に鎮座。その姿が伸康氏のバックに映り込む姿がテレビに抜かれていた。

「“父親頼み”の印象が強調されてしまった。82票対46票という数字も、無名に近い望月に迫られたという評価が大半です。所信表明では不倫の謝罪もしていたくらいですから、演説の出来も望月の方が良かった、と。そもそも、今回の衆議院から参議院への鞍替えも、本人の意志というよりも、“次の総選挙に出ても世耕相手に勝ち目はない”“政治家に一刻も早くなりたいのであれば、参議院の方が良い”という周囲の意見に従ったものと見られています」

 これで再び敗れたら、「二階王国」はどうなるのか。

「再び落選し、望月さんが当選することにもなれば、復活は相当苦しいでしょう。次に出馬できる選挙区が空いていませんから。その後に世耕氏が自民党に復党でも果たしたらアウトです。一方、世耕さんには、さまざまな選択肢がある。例えば、事前の状況次第で望月さんへの支援を引っ込め、二階サイドや自民党へ恩を売り、復党への道を早めるということもできる。いずれにせよ、公認申請は決まったものの、伸康さんの命運は世耕さん次第なのです」

デイリー新潮編集部

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