「二階王国」ついに終焉? 「不倫でお詫び」の3男が参院選公認も、「世耕弘成」が対抗馬擁立の可能性 地元からは「ひ弱なお坊ちゃん」と呼ばれ
7月に迫る参議院選挙。その最注目の選挙区のひとつになると目されるのが、和歌山選挙区である。2月9日、自民党の和歌山県連は、二階伸康氏(47)を党本部に公認申請することを決めた。しかし、そこに自身に近い対抗馬の出馬を支援していると囁かれるのが、“因縁”の世耕弘成・元経済産業大臣である。二階家・世耕家の決戦が再び始まろうとしているのだ。
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2月9日、自民党和歌山県連の拡大役員会で次期参院選の公認候補者選考が行われた。候補者の座を争ったのは、二階伸康氏と、望月良男氏である。
二階氏は自民党の二階俊博・元幹事長の三男。全日空に勤務後、父の秘書となり、父の引退に伴って、昨年10月の衆議院選挙に和歌山2区から立候補したものの、無所属で出馬した世耕氏に敗れ、比例復活も果たせなかった。
一方の望月氏は有田市議を2期、有田市長を4期務め、昨年退任している。
この2人の選考投票が行われ、結果は82票対46票。県連は二階氏を公認申請することを決めたのだ。
「誓約書」を提出
さる和歌山県の自民党関係者が言う。
「執行部には、ピリピリムードが漂っていました。投票に当たって、両候補者だけでなく、投票者に対しても、『結果にかかわらず、公認候補者の選挙に尽力する』との誓約書を提出させています。分裂選挙を防ぐためですが、異例中の異例です」
なぜこのような措置が取られたのか。
もともと和歌山では、衆議院旧3区などで、二階俊博・元幹事長が当選13回を重ね、王国を築いてきた。一方で、祖父からの政治家一家に生まれ、叔父と自身は主に参議院で地盤を築いてきたのが、世耕元経済産業大臣である。世耕氏は参議院で5回連続当選してきたが、首相の座を目指し、常々衆議院への鞍替えを狙っていた。昨年の総選挙前に、事務所や派閥に裏金問題が発覚した二階氏が引退を表明。一方の世耕氏もやはり裏金問題で離党勧告を受けた。新しい区割りとなった新和歌山2区では、父の推す三男の伸康氏が公認されたが、そこへ世耕氏が無所属で立候補を表明。激しい「保守分裂」選挙となった末に、世耕氏が約3万票差を付けて当選。伸康氏は比例復活すらできなかったのである。
そのため、今回、伸康氏は、世耕氏の鞍替えで候補者がいなくなった参院選に名乗りを上げることとなったが、一方の望月氏は、世耕氏と近い関係にあることで知られている。参院選の候補者選考自体が、昨年の「二階VS世耕」の争いの続き。それゆえ公認は得られなかったものの、世耕氏がバックにいる望月氏は、その支援を受けて無所属でも参院選に挑むのではないかとの見立てが出ている。それを防ぎ、再びの「保守分裂」選挙を回避するための「誓約書」というわけなのである。
実際、和歌山県の別の自民党関係者に聞くと、望月氏は出馬するとの声がもっぱらだ。
「そもそも世耕氏は、二階家の息の根を止め、自身で新たな王国を築こうとしています。その気がなければ望月さんの候補者選挙への挙手も勧めてはいないはずです。誓約書があると言っても何の法的拘束力もありません。拡大役員会の後、望月さん本人は“出ない”と言っていましたが、“今の段階では”と含みも持たせた。直前になって地元の声に押されたと言ってしまえばそれまでです。政治の世界では、勝った方が正義となりますから」
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