スタバだけでなくトランプ大統領も“廃止”を宣言…嫌われ者の「紙ストロー」にメリットはあったのか
コロナ騒動下で急速に進んだ脱プラスチック
プラスチック削減の動きは、政府の旗振りのもと、SDGsの号令とともに大々的に行われた。スーパーマーケットのレジ袋を筆頭に、ファーストフードチェーンのナイフやフォークなどのカトラリーなど、わかりやすいプラスチック製品がことごとくターゲットにされた。なかでも、ストローはレジ袋と並んで、脱プラスチックの象徴だったといえる。
従来のプラスチックストローから紙ストローへの転換が、チェーン店が旗振り役となって急速に進んだ。SNS上では「紙ストローはまずい」「すぐにふやける」などの怨嗟の書き込みが相次いだが、一度決めたことを覆すのは難しいのか、各社ともプラスチックストローに戻すことには消極的で、長らく紙ストローを採用し続けた。
それでもスタバは、「プラスチックストローをください」と言えばプラスチックストローに交換できたので、親切なほうだ。一方で、筆者があるファーストフードチェーンの店舗を利用した際にプラスチックストローへの交換をお願いしたら、スタッフが申し訳なさそうに「置いてないんです…」と言ってきたので、驚いてしまった。
このチェーン店は完全にプラスチックストローを店頭から撤去しており、ある意味では徹底していたといえる。しかし、ストロー以外にはプラスチック製品がそのまま使われていた。特に、飲み物を入れるカップについては プラスチック製のまま採用している店は依然として多いし、なによりカップの蓋はプラスチックであることがほとんどである。
フライドチキンを触った手でカップを持つ
なかでも「ケンタッキー・フライドチキン」はプラストローがよほど嫌なのか、カップの蓋に直接口をつけて飲み物が飲める“ストローレスリッド”を採用していた。しかし、ケンタッキーは手でチキンを持って食べるため、どう頑張っても指に油がついてしまう。お手拭きで拭いても油が残りやすく、手がべとついてしまうのだ。
チキンの油がついた手で紙製のカップを持って飲むことに、抵抗を感じた人は多かったのではないか。やはり、ケンタッキーでは提供する商品の性質上、ストローが必要なのである。結局、脱プラスチックはパフォーマンス程度にしかならず、利用者に不便を強いたうえ、微妙な味覚を感じさせただけで、表面的かつ中途半端な取り組みになってしまった。
しかし、ここまで利用者を巻き込んでおきながら、プラスチックストローやレジ袋を減らしたことで、結局どれだけ地球への負荷を減らしたのか、具体的なデータがまるでないのである。大々的に国が推進した事業はほとんど検証がなされていないのが気になるところだ。
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