話題の中国製「DeepSeek」で、政治的イシュー「習近平」「尖閣諸島」を検索するとどうなるのか
低価格が話題に
中国の人工知能企業・DeepSeek(ディープシーク)がその名の通り世界に“深い”衝撃を与えている。同社が1月20日に公開した新しい生成AI(人工知能)モデル「DeepSeek-R1」は既存の米国製の生成AIに匹敵する性能を持ち、しかも低価格だった。そのためAIやゲーム用のGPU(Graphics Processing Unit)を量産してきた米半導体企業NVIDIA(エヌビディア)の株価が、1月27日に暴落。時価総額は日本円にして約91兆円が吹っ飛ぶ大事件となったのだ。
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DeepSeekはAIの業界地図を一気に書き換えてしまうのか。AIに詳しい研究者がこう話す。
「GPUは単純な計算を大量に並列処理する能力に特化したデバイスです。もともとはゲーム用の画像処理に活用されてきましたが、AIの発展とともにその計算能力が注目され、NVIDIAはゲーミングGPU市場のみならず、AI分野においても独占的な地位を築いてきました。
特にNVIDIAのCUDA(Compute Unified Device Architecture)というプラットフォームが業界標準となり、ほとんどのAI関連ソフトウェアがNVIDIAのGPUを前提に開発される状況が続いています。
このためDeepSeekが台頭してきたとはいえ、従来と比べて省エネというだけで、高価なGPUが完全に不必要になったわけではありません。NVIDIAのGPU需要は一定の既得権益を得ており、突然消えることは考えにくいですね」
ただ、いつまでも安泰というわけではなさそうだ。近年のAIの発展により膨大な計算量を処理するGPUの需要は大幅に増加しており、だからこそ多くのAI企業がNVIDIAの製品を採用してきた。
しかし、「計算負荷が増大すると、膨大な電力を消費してしまいます」(前出の研究者)という問題があり、より省エネかつ効率的に計算できる方法が世界中で研究されてきた。そんな中で、低電力で高性能を維持するAIの手法がついに中国で誕生する。これこそがDeepSeekの新モデルというわけだ。この省エネ化の流れが続くと、いずれ高価なGPUが不要になっていく可能性が高い。
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