フジテレビ問題 被害女性と外資と身内 「3種のパワー」の一致が巨大なエネルギーに

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日本人の専門家が

 ファンド業界に詳しい金融関係者が解説する。

「いずれの書簡も、ダルトンの関連会社である投資顧問会社『ライジング・サン・マネジメント』(英領ケイマン諸島)のポール・フォルクス・デービス会長名義で、日本語としては違和感を抱かせるような独特の激しい言葉遣いが見られます。しかし、放送法における認定放送持株会社制度に言及し、フジテレビに対する国内世論の動向に敏感に反応している書き振りから見ると、日本人の専門家が起草に加わっている可能性が高いでしょう。

 ダルトンは、1999年にジェームズ・ローゼンワルドがスティーブ・パースキーとギフォード・コームと一緒に創業した老舗ファンドですが、預かり資産総額42億ドル(約6500億円)に達する『アクティビスト』(物言う株主)として有名です。

 もともとアジア市場を重視しており、東京には2000年に拠点を構えました。近年さらに日本市場への積極姿勢を強め、2020年にはロンドンで日本株を対象とした『ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド』を創設。関連会社ライジング・サン・マネジメントの社長に、大手外資系法律事務所ベーカー&マッケンジー出身の日本人弁護士、水落一隆氏が就任しました。

 昨年5月にダルトンは、TWC(世界有数の資産運用会社)ジャパン出身者を東京のマーケティングチームに招き、営業体制を強化しています」

かねてフジHDに目をつけ

「実はダルトンは、かねてフジHDに目をつけ、MBOを要求する書簡を送りつけていました。MBO(マネジメント・バイアウト)とは『企業の経営陣による買収』のことで、ダルトンは、株価の長期低迷が続くフジHDに所有する不動産を売却させて、その資金で会社を非公開化し、コンテンツ事業に特化させて企業価値を上げるように要求。しかし、昨年5月、フジHDはこれを拒否したのです」(同)

 この経緯から、けんもほろろなフジHDの対応に業を煮やしたダルトンが、遺恨試合よろしく経営体制の刷新を狙って、「中居正広・性加害疑惑」を仕掛けた、という見立てを口にする向きもいるのだという。

「その可能性はゼロではありません。昨年12月19日に発売された週刊誌『女性セブン』(小学館)や12月26日発売の『週刊文春』(文藝春秋社)の記事はいずれも、『事情を知る関係者』や『被害女性の知人』が情報源になっている書きぶりでした。しかし、そうした『関係者』や『知人』がどうやって週刊誌の記者に情報を提供したかというところは明らかにされておりません」(前出・芸能記者)

巨額の費用をいとわない

 そもそも「関係者」「知人」は存在せず、「本人」との見方もある。そもそも、そこまでお膳立て出来るようなパワーと情報力が外資ファンドにあるのだろうか。いささか「外資系主導説」は陰謀論めいており、にわかには信じがたいところだが……。

「外資系ファンドは、巨額の資金を運用して巨額の利益を上げるビジネスを行なっているので、情報や人脈にかけるコストは桁違いです。特に投資案件に直結するような企業不祥事の調査には、巨額の費用をいとわないこともあります。

 たしかに昨年12月後半の女性セブンや週刊文春の報道に、ファンド側が“後から便乗”して、問題を大きくしただけかもしれません。しかし昨年5月にフジへのMBO提案が拒否された後、箝口令が敷かれていたハズの『中居正広という著名芸能人による性加害スキャンダルにフジテレビが関与していた疑惑』情報を掴んでいたとしたら、フジHDの経営体制刷新を目論むファンドにとっては、まさに渡りに船。生き馬の目を抜くような競争を繰り広げているファンド業界にあって、そうした情報は“お宝”です。少なくとも、最大限に利用しようとしているということは言えるのではないでしょうか」(前出・金融関係者)

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