日銀審議委員に選ばれた才媛「小枝淳子氏」とは何者か 父はカルロス・ゴーン氏の右腕
学生の時分は“男子から人気のメガネ女子”といったところか。今年3月、日本銀行の審議委員に小枝淳子・早稲田大学教授(49)が就任する見通しだ。任期満了を迎える安達誠司審議委員の後任である。しかし、一般向けの著書もなく、世間的に有名というわけではない。どんな学者なのだろう。
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黒田前総裁の金融緩和策に否定的
小枝氏は、1999年に東大経済学部を卒業している。少し変わっているのは高校がイギリス北東部の寄宿学校であることだ。なぜイギリスだったのかは後述するとして、東大を出てから米UCLAに留学し博士号を取得。さらにIMFのエコノミストを経て東大大学院の特任講師に。インフィニティのチーフエコノミスト・田代秀敏氏によると、注目すべきは彼女が講師時代に討論者として登壇したシンポジウム(2010年)のメンバーだという。
「テーマはリーマンショック対策で行われた大規模な金融緩和をどう正常に戻すかという内容でした。シンポジウムには現日銀総裁の植田和男氏、現副総裁の氷見野良三氏、そして現審議委員の高田創氏も登壇している。つまり、現在の金融政策を決める日銀のトップの三人がいたわけで、そこに招かれた若手経済学者の小枝さんが、高く評価されていたことが分かります」
その後、早大准教授に転じ、18年、兼任していた日銀金融研究所研究員の時に出した論文が反響を呼ぶ。当時、黒田東彦総裁が進めていた大規模な金融緩和策に否定的な内容だったからだ。そのため黒田氏が国会で「日銀の公式見解ではない」と打ち消す一幕も。
父はかつての日産で“汚れ役”
小枝氏は、経済学者を目指すようになったきっかけが高校時代の授業だったと明かしている(雑誌「経済セミナー」のサイトより)。当時、父親が「英国日産自動車製造」の副社長として海外赴任。一緒にイギリスに移り住んでいたのだ。
「小枝さんのお父さんは小枝至氏。後に日本に戻るとカルロス・ゴーン氏と共に日産の共同会長を務めた人です。当時、ルノーから派遣されたゴーン氏は、聖域なきリストラで日産を再建。喝采を浴びましたが、コスト削減など“汚れ役”を背負わされたのが小枝至氏でした」(経済紙デスク)
その小枝元会長に、愛娘について聞くと、
「(日銀審議委員の候補になったことは)新聞で知りました。学生の頃は数学が得意ではなく苦労していましたが、いつの間にか複雑な数式で論文を書くようになっていた。相当な努力をしたのでしょう」
さらなる利上げを目指すという日銀のかじ取りは、一歩間違えれば景気悪化の恐れがある。小枝教授も “汚れ役”を引き受けることになるのだろうか――。