40歳「水原一平」は残り人生で「28億円」を賠償できるのか 米メディアは「本を書くしかない」 服役者が回想録で「3億円」稼いだ先例もあるが

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「数多くのオファーを受けてきた」

 水原と出版と言えば、彼が裁判所に出した嘆願書の中に関係する記述があった。曰く、

<私は長年にわたり、日本の企業から、本の執筆、テレビやラジオのインタビュー、テレビコマーシャルへの出演など、数多くのオファーを受けてきました>

 しかし、大谷や彼の会社からは、すべて許可が出なかったと述べている。すなわち、当時から本の執筆に興味を見せていたということだ。また、同じ嘆願書の中ではこのような箇所もある。

<私はギャンブル依存症に陥っていたことを痛感し、非常に辛い経験をしましたが、現在はギャンブルの問題を治療するためにホワイト博士の助けを受けており、ギャンブルからは完全に離れたと自信を持って言えます。この経験を通じて、私は同じような状況に苦しんでいる他の人々を助けたいと思っています>

 自らの経験をオープンにしたいと宣言しているというわけだ。もっとも、検察サイドからは、大谷が本の出版を止めたことや、水原が依存症であることが否定されているが……。前述の記事でも、さる在米ジャーナリストが述べている。

「もし彼が、いかにして裏社会の接近を許し、最終的に搦め捕られてしまうに至ったのかという一連の経緯を明かすことがあれば、それは教訓として活かせ、公共の利益に資することに繋がります」

「裁判とは別に何らかの形で真相を公にすることは重要でしょう。回顧録が反響を呼んで莫大な契約金や印税を手にし、さらには映像化にこぎ着けられれば、完済には至らないまでも大谷への賠償金に充てることもできます」

「婚前解約」も明かす

 現実味を帯びてきた水原被告の出版計画。それが賠償へのほとんど唯一の道であるにせよ、水原被告は大谷を利用しないと罪の償いが出来ないというのは皮肉だ。

 しかし、例えば出版した本が定価2000円だとしても、印税10%で26億円儲けるには、1300万部売ることが必要だ。日本の2024年の(トーハン、日販調べ)年間ベストセラー1位『変な家2』の部数が70万部だったことを見ても、いかに難しい数字かわかるだろう。

 もちろんアメリカの出版市場は日本よりも大きく、これに映像化が加わる可能性はある。しかし、厳しすぎる数字には変わりがない。実際、前述の記事で先のジャーナリストは、裁判、服役し、自伝を著して這い上がった“先人”として、ジョーダン・ベルフォート氏の名前を挙げている。同氏は株式ブローカーとして大金を動かしてきたが、証券詐欺やマネーロンダリングの罪に問われ、2年近く服役しながら回想録を上梓。それはレオナルド・ディカプリオ主演で大ヒットした映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の原作となった。それでも得たのは200万ドル(約3億円)と言われている。

 また、本件裁判でも、水原被告は、大谷が真美子夫人と「婚前契約」(結婚する前に締結する契約で、主に結婚後の財産の分配や離婚時の条件などについて取り決めるもの)を交わしていたことなど、大谷のプライベートに関わることを明かしている。出版に踏み切った場合、そこに大谷が公表されることを望まない内容が入っている可能性は否めない。

 さらには、ニューヨークポスト紙(2月4日付)の取材に応じた賭博の胴元、マシュー・ボウヤー氏は、今回の一件を記した書籍の出版を予定していると明言している。

 大谷が今後も事件に悩まされ続けることは間違いなさそうだ。

デイリー新潮編集部

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