「政治家の人間そのものをまず観察」「朝日新聞、創価学会を厳しく批判」 政治記者65年、元フジテレビキャスター「俵孝太郎氏」の信念

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朝日新聞、創価学会を厳しく批判

 政治家との距離感に留意しながら、池田首相以来、宏池会の政策に共感を抱き、勉強家の大平正芳氏と気が合う。参院選への出馬を勧められたが固辞した。

 日教組、朝日新聞、創価学会を厳しく批判。たとえ脅しを受けても論を戦わせた。戦後の過度な平等主義や安っぽい正義感ほどろくなものはないと語り、日本人は熱しやすくて冷めやすく、世論は正しいとは限らないと考えていた。政治だけでなく、深く考えず根幹にかかわる部分に無頓着な傾向が進んでいると危惧した。

「正論」元編集長の上島嘉郎氏は言う。

「骨太の人でした。よく調べた上で、言いにくいことを避けずに発言し、ユーモアもありました。産経新聞への思いがあり、天下国家を論じるメディアなんだ、と話していました」

飾らない実生活

 クイズ番組「マジカル頭脳パワー!!」の解答者としても親しまれた。普段から飾らず生活は慎ましい。雪駄履きに自転車で自宅からふらりと出かけていた。執筆意欲は衰えず、月に10回以上の講演を行うことも。

「長い現場生活ゆえに2世議員を親子ともに実際に知り、比較できる強みがあった。でも、揶揄などはしなかった」(小林氏)

 世襲には1世代の間を置いてはどうか、との考えも示していた。連載を抱え、新聞記事のスクラップも続けていたが、昨年11月、再発した肺がんが急激に悪化してしまい、仕事を断念する。

 1月1日、94歳で逝去。

 政治不信を拭うには政治家の実像を知るしかない、自分は生涯一記者だと言い、その道を実直に全うした。

週刊新潮 2025年2月13日号掲載

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