物価高もなんのその…“自分チョコ”予算は9000円超 お祭り化する今年のバレンタイン

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“好きな人に贈る”というのは今や昔? まもなく本番を迎える今年のバレンタインでは、自分用チョコレートにかける予算が昨年比で倍増。昨今の物価高をもろともせず、売り場は活況を呈しているという。インバウンドの武器にもなりそうな日本のバレンタインの現在と未来を、消費経済アナリストの渡辺広明氏がレポートする。

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 今年の節分の恵方巻き商戦では、スーパーやコンビニでの半額セールなどの値引き販売や廃棄が増加した。意外に思われるかもしれないが、その背景には「バレンタイン商戦」の影響がある。

 2月は、年末年始商戦が終わり、3月の春夏の新商品発売を控えた狭間の時期。日数が少ないことも相まって、小売業にとって売上が伸び悩む時期となる。そのため“人工的催事”であるバレンタインデーは、長年、2月の売上を支える重要なイベントだった。しかし、近年は義理チョコ文化がほぼ消滅しつつあるため、スーパーやコンビニでは売り場が縮小。その穴を埋めるために恵方巻き注力が進んだ結果……というのが今回の状況の遠因と考えられる。

 一方で、百貨店のバレンタイン商戦はかつてないほどの活況を呈していて、バレンタイン催事は北海道展に匹敵するほどの集客を誇るイベントとなっている。

 松屋銀座が実施したバレンタインに関する意識調査によると、「バレンタインは誰のために買う予定ですか?」という質問に「自分チョコ」と回答した人が64.2%と最も多かった。2025年の自分チョコの平均予算は9227円と、前年の約2.4倍となった。アンケート結果からも、自分がほしいチョコを買う「推しチョコ」文化が完全に定着し、さらに進化していることがうかがえる。

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