日枝久氏を辞めさせるのが「非常に難しい」理由とは フジ元役員が明かす
“あいつは右翼でも左翼でもない、権力欲(翼)だ”
「若い頃の日枝氏を知る人に聞くと、正義感にあふれ仕事熱心で、今のような立場に上り詰め、絶対的な支配者として君臨するのが想像できる人物ではなかった、と評する人もいます。が、彼がやってきたことを見る限り、若い頃から権力欲があったといえるかもしれない」(中川氏)
前出のフジ元役員も、
「日枝さんには特にこれといった思想はありません。日枝さんの先輩とか同年代には、“あいつは右翼でも左翼でもない、権力翼(欲)だ”と言う人もいました」
その来歴を詳しくたどるほど、簡単に権力を投げ出す人物とは思えないのだ。
表情が一変し「個人的な話は言えないです」
日枝氏の進退に関して、遠藤龍之介副会長が“どうなさいますか?”と本人に水を向けると“お前らが辞めろ”と言い放ったのは前編で触れた通りである。自宅で遠藤副会長にこの点を問い質すと、表情が一変。天井を見上げて考える仕草を見せながら口を開いた。
「個人的な話は言えないですけど……まあでも……うん……個人的な出来事については何とも言えないな」
『フジテレビはなぜ凋落したのか』(新潮新書)の著者でフジ元プロデューサーの吉野嘉高氏が言う。
「今、企業活動には透明性が求められています。フジサンケイグループ代表がグループ各社の役員などの人事を牛耳ることができるのであれば、その役割を開示していないことについて、ガバナンス上の問題があるのではないでしょうか」
フジの大株主「ダルトン・インベストメンツ」は2月3日付で日枝氏の辞任を求める書簡をフジに送付した。果たして独裁者は、この要求を無視できるのか。
前編【「フジの社員は“文春ひどい“と騒いでいる」 フジテレビの窮地に「菅田将暉もドラマ出演を断った」】では、窮地に立たされるフジテレビ内部の声や、日枝氏が退陣しない背景について報じている。
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