日枝久氏を辞めさせるのが「非常に難しい」理由とは フジ元役員が明かす

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「最後の難局」

 01年にフジの代表取締役会長、03年にフジサンケイグループの代表に就任した日枝氏は05年、「最後の難局」に臨むことになる。

「フジ株の上場後もニッポン放送は約34%の株を持つ筆頭株主でした。そこでフジはニッポン放送株の公開買い付け(TOB)を行い、ニッポン放送の子会社化を目指すのです。そんな中、急きょ、ニッポン放送株を買い集め最終的に過半数を握る筆頭株主となったのが、堀江貴文氏率いるライブドアでした」

 その際、騒動の矢面に立ってマスコミの取材に応じる日枝氏の姿を覚えている方も多かろう。

「結局、フジはライブドアと和解してニッポン放送株を買い取り、ニッポン放送を完全子会社化しました。さらに、08年にはフジ・メディアHDという認定放送持株会社を設立し、日枝氏はその代表取締役会長に就任します」

「権力者としての地位の完成形」

 ここに至り、日枝氏はかつての鹿内家以上の権力を得た、と中川氏は語る。

「鹿内家は3代にわたってフジサンケイグループの議長を務めたとはいえ、肝心のフジの親会社であるニッポン放送株を13%しか持っていませんでした。HD化によってその弱点を克服し、さらにその後、フジとHDで経営責任を問われる代表取締役からは退く一方、フジサンケイグループ代表として名実ともにグループを支配する。これは絶対的な権力者としての地位の完成形といえるでしょう」

 一介のサラリーマンとしてフジに入社し、メディアグループの独裁者にまで上り詰めた、恐るべき「出世物語」ではないか。

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