日米首脳会談終了 トランプ氏の「ディープステート解体運動」に日本が細心の注意を払うべき理由

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連邦政府の動向次第で国民生活は大混乱

 政党間の軋轢に加え、連邦政府職員の士気が低下することも気がかりだ。連邦政府職員は「怠惰で無能なくせに隠然たる力で『選ばれた指導者』の邪魔立てをする存在」とのレッテルを貼られ、“国民と敵対する粛清すべき存在”と化しつつある。

 連邦政府職員を標的とする現政権のやり方が彼らの職場に大きなストレスを引き起こしており、30年近く勤めてきたベテラン職員によれば、連邦政府内の士気は「今まで見てきた中で最悪だ」という(2月7日付ニューズウィーク日本版)。

 職員が一丸となって政権に反旗を翻す可能性は現時点では低いが、個々の職員の士気の低下が意図せざる形で大規模な集団サボタージュを引き起こす危険性には要警戒だ。米国でも高齢化が進んでおり(高齢化率は18%)、連邦政府の活動に支障が生ずれば、国民生活が大混乱する可能性は排除できなくなっている。

破壊した後の「国のかたち」は見えず

 連邦政府の活動の停滞が米国経済に与える悪影響も見逃せない。トランプ政権が1月末に補助金などの執行を停止したことで数百億ドル相当のプロジェクトが凍結され、複数の地域が危機に直面しているとロイター(2月6日付)は分析している。

 このように、トランプ政権の大リストラ策は波乱含みだ。破壊した後の「国のかたち」の輪郭も明らかになっていないことも気になるところだ。

「ともに黄金時代を築く」と誓った日本としては、米国の内政面の動向についても細心の注意を払うべきではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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