日米首脳会談終了 トランプ氏の「ディープステート解体運動」に日本が細心の注意を払うべき理由

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ペンドルトン法以来の大改革

 2月7日に米ホワイトハウスで会談した石破首相とトランプ大統領は「日米関係の新たな黄金時代の追求」をうたった共同声明を発表した。トランプ氏が1月の大統領就任演説で「米国の黄金時代が始まる」と述べたことを受け、「日米が協力し、ともに明るい未来を実現していく」との思いがこめられている。

 公約実現のために、第2次トランプ政権は連日のように政策を繰り出している。注目を集めている外交分野の動きとともに、内政面でも「ディープステート(闇の政府)」と呼ぶ連邦政府の組織改革に乗り出した。

 トランプ氏が目指す改革には2つの柱がある。

 1つ目は「スケジュールF」と呼ばれる政治任用枠の導入だ。政策に携わる職業公務員のポストを政治任用者に置き換えることがその目的だ。政治任用者の数を現在の約4000人から5万人以上にする予定であり、近代公務員制度を導入したペンドルトン法(1883年成立)以来の大改革だと言われている。

「リベラルな考え方に染まった職業公務員の抵抗で政策が実現できない」と痛感したトランプ氏は、第1次政権末期に大統領令でこの制度を発表したが、準備に手間取り、日の目を見ることはなかった。次のバイデン政権下で廃止されたこの制度の復活こそが、第2次トランプ政権による政府機構改革の第1歩だというわけだ。

DOGEは「現代のマンハッタン計画」?

 2つ目は、世界有数の富豪であるイーロン・マスク氏が発案した新組織「政府効率化省(DOGE)」の設立だ。マスク氏が「政府の規制を減らし、それにかかわる公務員を削減するのは当然だ」と主張しているように、DOGEの主眼は職業公務員の大幅削減に置かれている。

 トランプ氏もDOGE発足に当たり、「現代のマンハッタン計画になり得る」と述べ、原爆製造を成功させた計画になぞらえてインパクトの大きさを強調した。

 トランプ政権は初日からリストラに乗り出している。連邦政府職員の新規採用を停止し、テレワークを禁止すると表明した上で、早期退職を呼びかけた。

 退職か新政権への服従を迫る職員向けのメールの表題は「分岐点」だった。2022年にマスク氏が旧ツイッター(現X)を買収した際、従業員に向けて送ったものと同じだ。米CBCは6日「(全職員の3%に相当する)6万人が応募した」と報じた。

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