「妻は“華僑の四大美女”で政界にパイプ」 コロナ給付金詐欺で逮捕された中国人元外交官の“ウラの顔”

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容疑者の“ウラの顔”

 コロナ禍のどさくさで給付金をだまし取る。発覚が後を絶たない詐欺事件で今回逮捕されたのは、異色の経歴を持つ中国人男性だった。中国大使館の元外交官でありながら、政財界の要人が通う高級中華料理店を経営するこの男。捜査当局が注目する“ウラの顔”とは。

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 今月5日、国からのコロナ給付金をだまし取ったとして、警視庁公安部は中華料理店「御膳房」など8店舗を経営する「東湖」(東京・六本木)社長で、中国籍の徐耀華容疑者(62)を詐欺容疑で逮捕した。彼の部下で経理担当だった小島敬太容疑者(28)も同じ容疑で逮捕されたが、事件はこれで終わらないとみられている。

 全国各地でコロナ給付金にまつわる詐欺事件の摘発が相次いでいるが、徐容疑者が詐取した金額は数億円にも及ぶといわれ、桁違い。

 だが、それ以上に問題視されているのは、徐容疑者の“ウラの顔”である。捜査機関の動きを見ても、今回の事件は単なる詐欺事件とは思えないのだ。

当局が家宅捜索した意味

「詐欺などの知能犯は、警視庁なら刑事部の捜査2課が担当しますが、徐容疑者を逮捕したのは公安部です。中国の工作などによる対日有害活動を取り締まる役目を担う公安部が、徐容疑者の経営する店など関係先約20カ所を家宅捜索し、数々の物証を押収しています。捜査の目的が徐容疑者の背後関係に及んでいることは明らかです」(社会部デスク)

 捜査機関がかようにも力を入れる背景には、徐容疑者の華麗なる経歴がある。彼がかつて受けたメディアのインタビューなどを基に、たどってみよう。

 中国生まれの徐容疑者は、16歳の時に飛び級で武漢大学に入学を果たす。中国で最も権威のある「国家重点大学」に指定された高等教育機関の一つで、彼は同大大学院では日本近代文学史を専攻。23歳で修了後、日本の文科省にあたる文化部に奉職する。1986年、入部から半年後に来日し、在日中国大使館の3等書記官となるが、その当時、中国では〈最年少の外交官〉だったとして胸を張る。

 その3年後に帰国した徐容疑者は、29歳で文化部を辞め、その後再来日を果たす。95年には「御膳房」をオープンさせて、日本では珍しい雲南地方の薬膳料理を紹介。人気を集めて都内屈指の高級中華料理店に育て上げた。

 店のホームぺージには〈御膳房六本木店は歴代首相を始めとする日本政財界、中国大使館などによくご利用されています〉といううたい文句が掲げられている。

 単に店の箔付けのようにも聞こえる宣伝文句にこそ、当局が本腰で強制捜査をした意味が隠されている。

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