フジテレビの株価が爆上がりしている意外な理由とは? 社員も「不可解と言うほかない」

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騒動前の株価を追い越し……

 世間に衝撃を与えた中居正広氏(52)の女性トラブル報道から、既に2カ月近くがたつ。この間、騒動の渦中に置かれたフジテレビは「やり直し会見」などでガバナンス不全を露呈し続け、深刻なスポンサー離れを招いた。これを受けフジは業績予想を大幅に下方修正するなど先が見通せない状況だ。しかし、そんな中、一筋の光明が舞い込んでいるという。

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「一筋の光明」とは一体何なのか。フジテレビ社員はこう語る。

「件(くだん)の報道で低迷していたフジ・メディアHDの株が、1月中旬ごろから高騰し続けているのです」

 その様子は、株価の推移を調べると一目瞭然。大炎上した港浩一前社長の会見の前後から上がり始めると、大荒れとなった「10時間超会見」を経ても伸び続け、2月10日までに1000円以上の上がり幅を記録したのだ。

 先の社員はこう訝(いぶか)る。

「民放5社の中でもウチは株価が長年伸び悩み、最近では日本テレビとTBSに時価総額で水をあけられていました。それが今や4位のテレビ朝日を大きく引き離し、日テレやTBSにも迫る勢いなのです。今の状況を考えれば、不可解と言うほかありません」

 一体何が起こっているというのか。

 経済アナリストの森永康平氏は、同HDの「PBR」(株価純資産倍率)に着目すべきだと解説する。

「PBRとは、その企業の株価が資産価値に対して割高か割安かを判断する指標です。本来なら1以上であるはずのこの数字が、フジ・メディアHDでは約0.6しかありません。これは1万円入った財布が6000円で売られているようなもので、異常な状態なのです」

「経営者にとってはぬるま湯」

 その原因は、テレビ業界全体の苦境にあるという。

「ネットフリックスなどの配信サービスが台頭する中で、テレビ局は投資家たちに斜陽産業と見られています。資産価値に比べて株価が低迷しており、即ちPBRも低いままでした」(森永氏)

 加えて、外資系ファンドの社員はこう語る。

「日本では放送事業者が外資に支配されることを防ぐため、その持株比率を20%未満にするよう放送法などで定められています。外資に多い“物言う株主”の影響から守られてきたのです」

 つまりPBR1未満という“異常事態”にもかかわらず、経営が改革されるような機運が生まれづらい状態だった。

「国内投資家も、落ち目であるテレビ局にあえて強く経営改善を促すほどの気概は持ち合わせていない。いわば放置状態で、経営者にとってはぬるま湯です。株価を上げる意識が希薄で、ひいてはイノベーションが起こるはずもない。投資家たちからは半ば諦観されていたのです」(同)

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