「佐々木朗希」獲得に失敗…お家騒動が続く「パドレス」に欠けていたのは“フロントの安定感”か

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GMも把握していない一派が?

 ピーター氏が健在だったころは球場だけでなく、キャンプ地にも足を運び、選手たちを激励していた。シールさんもそれに付き添っていたが、「彼女がピーター氏に続いて人前で発言することはなかったはず。穏やかそうな淑女といった印象」(前出・同)との声も聞かれた。その口数の少ない貴婦人が訴え出たのだから、義弟や球団幹部に対し、かなり本気で怒っているのではないか――地元メディアもファンもそう感じている。

「パドレスは編成トップのA.J.プレラーGM(47)が中心となり、フロント陣に指示を出していました。14年のGM就任後、真っ先に着手したのがマイナー組織の強化です。ドジャースとライバル球団になったのは、プレラーGMのおかげという声は内外から聞かれます。合議制になった今の体制への不満は聞いたことがありません」(前出・同)

 昨季、球団史上2位の93勝を挙げ、2年ぶりのポストシーズンに導いたマイク・シルト監督(56)は大学まで野球をやっていたが、プロ経験はない。学生指導者からカージナルスのスカウトとなり、コーチも務めた。カージナルス退団後はパドレスのアドバイザーとなり、「サイドラー前オーナーがもっとも信頼していた人」でもあったそうだ。

「前オーナーは補強にお金を惜しまないタイプでした」(前出・米国人ライター)

 前オーナーが大金を投じて集め、また育ててきた選手を「右腕だった相談役」が束ね、指揮を執る――決して裁判沙汰になるような混乱は起こりそうにないのだが、こんな意見も聞かれた。

「前任はボブ・メルビン監督(63=現ジャイアンツ監督)です。23年、ナ・リーグ西地区で3位と振るわず、退団しました。プレラーGMと衝突したのが退団のきっかけでしたが、最優秀監督賞に3度も選ばれた名将です。近年のプレラーGMは育成よりも外部からの補強に力を入れるようになりました。ナ・リーグ西地区が『ドジャース一強』になった焦りからです」(前出・同)

 昨年12月2日、「パドレスに何か起きているのではないか?」と米メディアやファンが首を傾げるような“異変”も起きていた。移籍情報をメインに扱っている米サイト「Trade Rumor」がこう報じた。

「パドレスがルイス・アラエス(27)をトレード放出するかもしれない」

 アラエスは大谷の三冠王を阻止したナ・リーグの首位打者だ。年俸も1060万ドル(約14億8400万円)と、まだ高額にはなっていない。昨シーズン途中の5月にマーリンズから得たのだが、そのトレードをまとめたのがプレラーGMだった。

「『Trade Rumor』も疑問を呈していましたが、なぜ、首位打者のアラエスが放出要員になるのか分かりませんでした。今さらですが、プレラーGMが把握していない一派が動き始めていたのでしょう」(前出・同)

 結局、アラエスの放出はなかったが、今後どうなるかは分からない。だが、22年2月に当時35歳だったダルビッシュに6年1億800万ドル(約151億円)の破格の大型契約を提示し、23年オフの松井裕樹(29)の獲得に尽力したのもプレラーGMだ。前オーナー夫人とのゴタゴタが長期化すれば、合議制の現政権に関係のある選手たちも巻き添えになる可能性も捨てきれない。

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