戦後80年…愛子さまと悠仁さまが抱く強い思い…「皇室と沖縄」の固い絆

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「語り部」継承への強い想い

 また大正天皇が即位すると、沖縄本島の北西に位置する粟国島には記念の池が造成され、現在も大正池公園として憩いの場になっている。林に囲まれた池にはたくさんの水鳥たちが集まり、併設された展望台からは粟国村の自然豊かな景色も一望できる。大正10年3月には、まだ皇太子だった大正天皇自身が沖縄を初めて訪問。召艦「香取」での寄港だった。

 2月23日に65歳となられる天皇陛下は、誕生日会見で戦後80年に当たり、改めて沖縄へのご心情を述べられるとみられる。

 沖縄県立北谷高校在学時から沖縄戦体験者に聞き取りをし、それを各地で講話する「語り部」活動を行っている比嘉夏香さんは、23歳の愛子さまと同世代の25歳。平和学習のため沖縄を修学旅行で訪れた中学生らに、沖縄戦体験者の話を紹介した上で「皆さんは平和のために何ができますか」と問い掛け続けている。

 また、広島で27代目の高校生平和大使(若い世代の立場から核兵器廃絶と世界平和の実現を世界に訴える)の活動をしている甲斐なつきさんは、18歳の悠仁さまと同年代の17歳だ。ロシアのウクライナ侵攻など“核の脅威”の高まりから、日本被団協がノーベル平和賞を受賞した昨年、「私の曾祖父は原爆投下後に救助活動のため広島市に入り、放射線に被爆しました。核兵器の存在は決して許されるべきではありません」と訴え、スイスの国連欧州本部に9万6000人分の署名を届けている。

 上皇陛下の元側近は、こう言って目を細めた。

「戦争は決して繰り返してはならないとの想いを強められている愛子さまと悠仁さま。お2人のお考えは、こうした同世代の『語り部』継承者たちと重なるものです。お2人はともに、次世代の皇室を担うに相応しい皇族方へとご成長を遂げられる途上にあると拝察しています」

朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。主に紙媒体でロイヤルファミリーの記事などを執筆する。

デイリー新潮編集部

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