「双極性障害」でマッチングアプリに80万円を課金… 元・東大生格闘家が語る病との闘い
昨年末のNHK紅白歌合戦にも出場した歌手・こっちのけんとが、双極性障害の症状ためにしばらく活動休止すると公表し、話題となった。また、芸人のキンタロー。は、自身の父が双極性障害を患い、ヤングケアラーだった経験を語っている。
うつの状態と躁状態を繰り返す双極性障害は、100人に1人の割合で発症するとされるが、うつ病と比べて病気の知名度は低い。『元東大生格闘家、双極性障害になる』(日本評論社)の著書がある巽宇宙(たつみ・うちゅう)さん(53)も、当事者のひとりだ。病気が発覚するまでの経緯や公表した理由について聞いた(全2回の第1回)。
プロ格闘家と会社員の両立。しかし、うつ気味に
巽さんは、東京大学大学院に在学中に格闘家としてプロデビューしたという異色の経歴の持ち主。卒業後は一般企業に就職をして格闘技を続けた。
「ファイトマネーは、最高でも30万円。ほとんどゼロに近かった。今の『RIZIN』とは違いますよね。ファイトマネーでは暮らしていけなかったので就職しました。親も会社員だったので、きちんと就職はしようかなって。僕は大学と院の入試で浪人しているので、修士を卒業する時には26歳でした。新卒で就職できる最後の年齢だったと思います」
最初の就職先である食品会社では活躍した。
「開発企画担当で入社し、その後にマーケティング担当をして、コンビニで売れるような栄養商品を考案しました。それまではなかったウエハースタイプのプロテインバーなどです。今では当たり前になったプロテインバーをコンビニで販売できるようにしたのは僕なんですよ」
傍から見れば学歴もあり仕事でも活躍、しかも格闘家。順風満帆の人生に思えるが、「その頃から精神的にも病んでいた」という。
「最終的にはプロダクトマネジャーにもなったのですが、その頃からうつ病の症状がかなり酷くなっていた。体調に不安を感じて希望を出し、別部署に異動はしたものの、その半年後に辞めました」
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