中東で石油開発権を獲得した初の日本人「アラビア太郎」 高度経済成長期の日本を沸かせた“怪物実業家”の波乱に満ちた人生
1955年頃から始まった日本の高度経済成長期は、その後の経済成長の基礎となった重要な時期である。一般家庭にもテレビ・洗濯機・冷蔵庫の「三種の神器」が広まるなど、国民は新しい商品、文化、考えを積極的に受け入れた。「日本はまだまだ先へ行ける」というモチベーションが日本を包むなか、世間をあっと驚かせた実業家も登場している。
そんな実業家の1人が、昭和33(1958)年2月10日にアラビア石油株式会社を設立した山下太郎氏だ。第一次世界大戦と太平洋戦争を経て「石油、エネルギーの必要性を痛感していた」という山下氏は、日本人として初めて中東の石油開発権を得た。...