「巨大スカウト集団」捜査のウラで「ソープランド」が次々に摘発…「店が摘発されるのは珍しいケースだが……」
相次ぐソープランドの摘発
〈浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業〉
何の仕事かお分かりだろうか? 風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)第2条6項の「店舗型性風俗特殊営業」のうち「1号営業」の定義である。1号営業とは、ソープランドのことだ。
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今年に入って、警視庁によるソープランドの摘発が相次いでいる。1月7日には埼玉県川口市、同30日には石川県加賀市と東京都品川区のソープランドの経営者らが、それぞれ売春防止法違反(場所提供)の疑いで逮捕された。
性風俗に女性を紹介していたスカウトグループ「アクセス」に対する捜査の一環である。グループにはスカウトが300人ほどおり、46都道府県の風俗店に女性を紹介、店から支払われる報酬(スカウトバック)は、5年間で70億円にも上るという。
「被害が全国規模に及んでいることから警視庁は保安課を中心に、70人という大規模な特別捜査本を設置しました。稼働する女性の募集や勧誘、登録などはSNSで行われており、特捜本部は『アクセス』を匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)と見て、全容解明を進めています」(社会部記者)
逮捕容疑となった「売春防止法違反(場所の提供)」だが、改めて言うまでもなく、日本では売春は禁じられている。ソープランドでは、堂々と本番ができる、という認識は誤りとなる……といっても、何かモヤモヤする方も多いのでは?
「ソープランドはあくまで入浴施設であり、女性は入浴に伴うサービス(体を洗う、衣類の脱着を手伝うなど)を提供する。これが法律にある〈異性の客に接触する役務〉です。しかし、事はすべて個室内で行われるため、女性がそれ以上のサービスに応じるかどうか、店側は“知らない”という建て前になっているのです」(風俗業界関係者)
ちなみに、店舗内で女性が性的サービスを行う「2号営業=店舗型ファッションヘルス」の定義は〈個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業〉となっている。この〈性的好奇心に応じて客に接触する役務〉が、(本番ではない)性的サービスとなる。
ソープランドのルーツ
夕刊紙で長く風俗情報を担当した、元記者氏が言う。
「ファッションヘルスやイメージクラブ、のぞき部屋といった業種を紹介する場合、女の子は下着もしくは裸で写真を撮って紹介しても問題はありません。しかし、ソープランドの紹介記事では、あくまで“性的サービスはしない”という建て前になっているので、紹介する女の子は制服をちゃんと着るか、ギリギリでも下着姿で乳房などを露出させないで紹介します。そうしないと、当局(警察)から“お前の店は、そういうサービスをしているのか”と、摘発のきっかけを与えてしまうからです。新人記者を取材に出すと、平気で女の子の裸を撮って来るので、取材のやり直しを命じたことは何度かあります」
ソープランド――その昔は「トルコ風呂」と呼ばれていたが、日本では1951(昭和26)年4月、東京・東銀座にオープンした「東京温泉」が第1号とされている。
〈首から上だけを出す「蒸し風呂」(スチームバス)で汗を流し、「ミス・トルコ」と呼ばれた女性が、半袖の白衣と白いパンツ姿でマッサージを施すだけだったそうだ。それでも連日大入りの満員。政財界など各界の名士が東京温泉に通ったという〉(小泉信一著『裏昭和史探検 風俗、未確認生物、UFO…』(朝日新聞出版)より)
やがて似たような店がどんどん増えていくのとあわせ、サービスも過激になっていく。
「吉原で長くやっている飲食店主に取材したときに聞いたのですが、ある時、下水管が詰まって水が流れなくなった。業者が来て中を見たら、流された避妊具で管が詰まっていた。個室で使用済みのものを、そのまま流していたそうです。また、一部のソープでは“アリバイ”的な意味もあるのか、個室の中にスチームバスが置いてある店もありました。実際に使うことはまずありませんが……」(前出・元記者)
58(昭和33)年に売春防止法が施行されたが、トルコ風呂はさらなる進化を遂げる。川崎・堀之内の「川崎城」の浜田嬢が69(昭和44)年に「泡踊り」を考案。真剣にやると1時間はかかったという“秘技”を求めて、客が殺到する。さらにビニールマットを使用した「マット洗い」に「潜望鏡」など……その詳細は割愛するが、
「吉原には何人か阿波踊りの達人がいました。閉店後、数万円の謝礼を払って技を直伝してもらう嬢たちが訪れていました」(前出・元記者)
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