ただの“懐かしいゲーム”じゃない…「ドラクエIII」リメイク版が「まだクリアしたくない」と思わせる理由
このゲーム、終わらせたくないな
「ドラゴンクエストIII そして伝説へ」のHD-2Dリメイク版が11月14日に発売され、すでに様々な意見がネットには書き込まれている。絶賛する意見はあるものの、「新しい要素があまりなかった」「2Dではもはや満足できない」といったコメントが散見され、Nintendo Switch版では税込7678円という価格が高い、といった声も。
【写真】「あえて」全クリを遅らせている筆者の「ドラクエIII」プレイの様子
全般的に「大絶賛」というよりは、過去にファミコン版やスーパーファミコン版、ニンテンドーDSのダウンロード版をプレイした人による「懐かし消費」的な扱いをされている面もある。
筆者は事前予約をしたどころか、このゲームのためにSwitchを購入し、万全を期して11月14日を待った。そして本稿執筆の日は2月3日。まだクリアしていない。「上の世界」でバラモスを倒し、「下の世界」に入ったばかりである。このままいくとラスボスのゾーマを倒すのは2月下旬になり、隠れボスのしんりゅうを倒すのは4月になるのではなかろうか。
当然これまでのファミコン版・スーファミ版・DS版はプレイしているのだが、今回のSwitch版(他にもPS5やSteam版などはある)をプレイして不思議な感覚に陥った。このゲームを終わらせたくないのだ。
ドラクエ好きとして知られるタレントの中川翔子さんが、勇者のレベルが99(いわゆる「カンスト」)になってもまだゾーマを倒していないことが話題となったが、私自身も「なんかこのゲーム、終わらせたくないよな……」という気持ちになっている。
本当に変なゲーム
当然、「バラモスを倒したら別の世界があった」→「その世界はドラクエIの世界であるアレフガルドだった」→「そこで倒した魔王はゾーマというヤツだった」→「そいつを倒したら『上の世界』との交流は終わる」→「そしてドラクエIIIの主人公は伝説の勇者・ロトだった」→「そこからドラクエI、IIに繋がる伝説が始まる」という流れは分かっている。
だからこそ、まったくその後の展開についてドキドキしないのだが、ただただこのHD-2D版は「終わらせたくない」ゲームなのである。なんといっても寄り道をする要素が多過ぎるのだ。いわゆる「キラキラ」というアイテムが潜んでいる場所や、謎の巨木やら岩がある場所でアイテムを獲得したり、「バトルロード」というモンスターを仲間にして闘わせたりする機能が追加されたのだ。
そうなると冒険を進めるのはどうでもよくなり、アイテムをいかに大量に獲得するか、さらにはモンスターを多数味方にして闘わせてカネとアイテムを獲得するか、といった方向に気が向いてしまうのである。元々ドラクエシリーズには「すごろく」「カジノ」といった寄り道要素はあったが、今回のドラクエIIIについては、その寄り道要素が相当強化された印象がある。
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