紅白で人気再燃の「B’z」 みなが気づいた「良いものは良い」というシンプルな真実

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音楽シーンに多大な影響

 B'zの音楽は、メロディアスな馴染みやすいJ-POPでありながら、ハードロックの重厚なサウンドを取り入れている点が特徴だ。ハードロック的なサウンドを日本の大衆音楽として定着させた功績は大きく、音楽シーンに多大な影響を与えてきた。

 しかし、90年代のCD全盛期において、彼らは圧倒的なセールスを記録しながらも、おしゃれな音楽を志向する音楽マニアや一部のサブカル層からは「ダサい」と評されることもあった。このような評価の二面性が、B'zという存在を一筋縄ではいかないものにしている。

 今回の「紅白」出演後も、SNS上では「B'zはダサかったのか論争」が起こり、さまざまな意見が出た。人によって評価が大きく分かれていること自体が、B'zの持つ独特の魅力を物語っているとも言える。

 たとえば、B'zの大ファンとして知られるブラックマヨネーズの小杉竜一がその魅力を熱く語るとき、どこか微笑ましさや間の抜けた感じがあることは否めない。稲葉の書く歌詞で描かれる男性像も、どこか弱気で情けないところがあったりする。サウンドは重厚なのに少しスキがあって親しみやすい。そういう部分もまたB'zの魅力の一つであり、彼らが大衆に愛された理由である。

 CDが爆発的に売れていた時代は過ぎ去ったが、B'zはその後も変わらず活動を続けていて、彼らの楽曲は世代を超えて愛されている。「そして輝くウルトラソウル」というフレーズを聴けば、誰もが「ハイ!」と叫んで立ち上がりたくなるほど、彼らの音楽は日本人に深く根付いている。今回の「紅白」をきっかけにB'zの人気が再燃しているのは、「良いものは良い」というシンプルな真実が多くの人々に届いたからだろう。

 今もなお、B'zはステージに立ち、力強くギターをかき鳴らし、熱唱し続けている。ひねくれたサブカル的な価値観が薄れ、ストレートなものが見直される今の時代だからこそ、B'zのまっすぐな格好良さが、多くの人の心に深く響いたのだ。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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