スーパーのコメが「5キロで5000円」の異常事態に…「新米が出回ればコメ問題は解決」と繰り返してきた「農水省」に批判殺到
あまりにも遅すぎた放出
江藤農水相は「コメの値上がりは一時的なものだと当時の農水相が判断したことは無理もないこと」と判断ミスを明確に否定した。そもそも、当時の判断が間違っていなければ、反省する必要はないはずなのだが……。
1月24日、江藤農水相は政府備蓄米を条件付きで販売すると発表した。吉村洋文・大阪府知事が政府備蓄米の流通を求めたのは昨年8月26日。それから5カ月近い時間が経過し、コメの価格が消費者の納得できる水準に戻ることは一度もなかった。
備蓄米の放出は遅きに失したとの批判もあり、江藤農水相は答弁で「備蓄米は法律で縛りがかかっており、しっかりとした議論が必要だったことはご理解いただきたい」と弁解した。
備蓄米は法律上、高騰対策に活用できないという説明に嘘はない。正々堂々と法改正を行うのなら時間が必要かもしれない。だが今回は「販売分は後に買い戻す」という条件で弾力的な運用を図った。これなら昨年9月に備蓄米を放出することもできたはずだ。
国民が「令和の米騒動」に悩まされていた昨夏、当時の坂本哲志・農水相は大臣会見で楽観的な見解を繰り返した。8月には「新米が出回れば、品薄は回復する」と説明。備蓄米の放出は「米の需給や価格に影響を与える恐れがある」と明確に否定した。
「新米が出回れば解決」の大嘘
ところが新米が出回ってもコメの価格は安くならなかった。10月1日、坂本農水相は岸田内閣の総辞職に伴って退任の記者会見を開いた。
記者が「価格が高止まりしている状況をどう考えればいいのか」と質問。坂本農水相は「ある程度は落ち着くと思います」、「米の価格の高止まりが長く続くわけではないと考えています」と楽観的な見通しを改めようとはしなかった。
だが現実は全く違った。11月19日、共同通信は「10月コメ取引、高値圏続く 大凶作の93年平均超え」との記事を配信した。
農水省の発表によると、10月の「相対取引価格」は全銘柄平均で玄米60キロ当たり2万3820円。前年同月に比べて57%の上昇となり、前9月と比較しても1120円の値上がりとなった。
記事で共同通信は《「新米が出回れば価格は下がる」としていた政府の見通しは外れ、高止まりが続く可能性も出てきた》と伝えた。ところが、共同通信の《高止まりが続く》という予測ですら甘かったことが後に分かる。
12月の「相対取引価格」は2万4665円となったのだ。10月と比べると845円の値上がりとなり、比較可能な1990年以降、過去最高を更新した。日本食糧新聞は1月22日の記事(註1)で《米価上昇がヒートアップしている》と報じた。
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