「東京中日スポーツ」休刊で分かったスポーツ紙の危機 “次”と囁かれる休刊候補紙とは

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追い込まれる各紙

 そもそも新聞の宅配システム自体、維持が難しい。深夜から早朝にかけての配達業務は人手不足やコスト増加の影響を受けており存続が危ぶまれている。このような状況を踏まえると、スポーツ報知、日刊スポーツ、スポーツニッポン、デイリースポーツ、サンケイスポーツといった他のスポーツ各紙も、紙媒体での発行を続けることがますます難しくなるだろう。追い込まれた各紙は記者のリストラやページ減でしのぐのがやっとだ。それではトーチュウの次はどこなのか。

「デジタルへの移行に熱心なデイリースポーツが有力候補でしょう。神戸市内の本社を司令塔にWEBニュースの拡充に力を入れていますし、名古屋拠点のトーチュウが紙から撤退したことでハードルは低くなりました。そもそも関東圏の阪神タイガースファンの数は関西圏に到底及びません。東京での紙撤退のタイミングを慎重に図っているのではないでしょうか」(同)

 ただ、新聞社にとって悩ましいのは記者クラブの問題だ。紙媒体の休刊で東京都下の記者クラブから脱退を求められたら、新聞社にとっては命取りになりかねない。ところがトーチュウの場合、紙から撤退したにもかかわらず記者クラブ“追放”という事態には至っていないようだ。

「なにしろ中日新聞社は中日ドラゴンズの100%親会社ですから、スポーツ紙を含む新聞各紙の運動部記者はほぼ静観状態です。なぜなら各紙ともドラゴンズ担当の記者がいるので“特落ち”を恐れて忖度するしかありません。芸能分野ではラジオ・テレビ記者会と東京放送記者会が、東京・渋谷のNHKに記者室を用意されていますが、加盟各社は従来通りの姿勢です。両記者会が発足した昭和30年代は、紙媒体以外の新聞を想定していなかったため、除名を求める根拠がないのです」(全国紙記者)

 デイリーの決断やいかに――。

デイリー新潮編集部

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