米ロサンゼルスのスーパーに見た「むき出しの貧富の差」 超高級~低所得5店でオレンジ価格を比較すると
フード4レス (オレンジ1個 1.29ドル/約200円)
入り口が解放されておらず、鉄の扉が設置されている小売店は、治安が不安定な地域にあるというのが米国の定説らしい。私が訪れたフード4レスの店舗は、入り口付近に4名ほどの警備員が配置されていた。
フード4レスは、大手クロガーグループの経営するチェーンで、低所得者層に向けた安価な商品を販売している。実際、トマト1個が1.29ドル(約200円)、バナナ1房は59セント(約90円)とウォルマートよりも安い価格で販売されていた。
惣菜などデリカテッセン売り場も無かったのも印象的だ。中食を買うよりも、自分で作った方が安いということか。また店の周囲の街中には露店が多く並んでおり、道端で食べ物から家電まで幅広く販売されていた。大量のパンがプラスチックケースに押し込まれて売られている光景は初めて見て驚いた。
ラルフス (オレンジ1個 1.69ドル/約250円)
ラルフスは、フード4レスと同じクローガー系列のチェーンだが、こちらはアッパーミドル層をターゲットにしている。
訪れたのはダウンタウンの店舗。生鮮は基本的にフード4レスよりも高い価格で売られていたが、同じクローガー系例だから、同じサプライヤー業者から仕入れているはず。エリアの違いがあるとはいえ、同じ傘下でも看板が違うだけで価格を変えるのは、日本的な小売業の感覚だと少し違和感がある。土地柄か、デリカテッセンがかなり充実していて、筆者も滞在中はたびたびここのおにぎりと惣菜とデザートを食べていた。
ラルフスで印象に残ったのは、店内で犬と一緒に買い物をする客の姿だ。他のチェーンでもちらほら見かけたが、地元住民によると、盲導犬を除いて、決して犬同伴が許されているわけではないらしい。ロスの公的機関も問題視しているが、注意をして店員と客がトラブルになるのを避けるために、黙認しているのだという 。日本にはない微笑ましい光景ではあるが、衛生面との線引きのルールは、今後明確になっていく可能性がありそうだ。
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