旅行客にこそ知ってほしい「北部九州の冬は想像以上に寒い」という事実…「2月の最低気温は氷点下に達します」
九州だから暖かいんでしょ?
2月4日から日本列島には「今シーズン一番の寒気」が流れ込み、各地から「寒い!」の悲鳴が聞こえた。そして、広い列島のなかでもこの悲鳴が上がり始めたのは北部九州からである。九州各地の観測地点で最低気温が氷点下を記録し、雪も舞った。筆者は佐賀県在住だが、とにかく寒いのだ。
【画像】地元以外の人には意外? 実は結構降っている北部九州の「雪景色」
九州以外にお住まいの方々からは「九州は暖かいんでしょ? だって宮崎でプロ野球のチームが2月にキャンプをするじゃん」と言われがちだが、全然そんなことはない。あくまでも宮崎と鹿児島が暖かいだけで、北部は想像以上には寒い。雪もキチンと降る。九州にスキー場が少ないのは高い山が少ないからで、もし高い山が多数あれば、スキー場はもっと多かっただろう。
東京の緯度は35度で福岡は33度で確かに福岡の方が南ではある。だが、冬季五輪が行われた韓国・平昌まではわずか457km、1月の平均気温が3.6℃の釜山までは214kmだ。
ヒートテック買わなくちゃ
何しろ北部九州は日本海型気候であり、実際に住んでいる筆者の肌感覚からすると、緯度は低いものの「ちょっと暖かい北陸」のような印象である。それでは「冬」にあたる12月から2月の東京と、北部九州の平均気温、最高気温、最低気温を気象庁のデータから見てみよう。北部九州とは山口・福岡・大分・佐賀・熊本・長崎を指すが、ここでは佐賀の1991年から2020年までの数字を紹介する。
【東京】
12月:7.7℃、12.0℃、3.8℃
1月:5.4℃、9.8℃、1.2℃
2月:6.1℃、10.9℃、2.1℃
【佐賀】
12月:7.8℃、12.4℃、3.6℃
1月:5.8℃、10.1℃、1.8℃
2月:7.0℃、11.8℃、2.6℃
これを見て分かるように、東京と大して変わらないのだ。だから十分寒い。しかも、東京では滅多に経験しなかったのだが、「肌を刺すような痛みを伴う寒さ」なのである。東京の雪は「ボタ雪」と呼ばれ、水分が多くすぐに溶けるが、佐賀の雪はアラレやヒョウのような水分が少なく固い雪である。それが玄海灘からの強風とともに顔面にぶちあたるため、苦痛度はハンパなくなる。
また、北部九州の寒さは観光客にとって大きな問題だ。温暖なイメージがあるため、冬場にもかかわらず薄着で訪れてしまう観光客が後を絶たないのだ。そして福岡空港の自動ドアが開いた瞬間、あるいは、博多駅から一歩踏み出した瞬間、痛みを伴う寒さにおののいて「ユニクロでヒートテック買わなくちゃ!」となってしまうのである。
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