「地域のクリニックが次々に廃業」 起こり始めた医療崩壊…医師も「地域医療が崩壊する危機を感じる」

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世界で類を見ない超高齢社会

【全2回(前編/後編)の前編】

 年が明けてひと月がたつ中、われわれに重大な危機が忍び寄っていることをご存じだろうか。その名もズバリ「2025年問題」――。今年は少子高齢化に悩む日本で後期高齢者がいっそう増す節目にあたる。起こり始めた医療崩壊や介護現場の大混乱の実情と対策とは。

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「2025年問題」と聞いて、すぐに内容を説明できる人はどれだけいるだろう。国難突破の大役を担う石破茂首相でさえ、国会における所信表明で言及はナシ。その問題に触れてしまえば、自らの無為無策が白日の下にさらされることを恐れたのか。これから取り上げる数々の実情を見れば、喫緊の課題なのは明らかだ。

 この問題を端的に言えば、いよいよ日本が世界で類を見ない超高齢社会となってしまうこと。その始まりとなるのが、2025年なのだ。約810万人生まれた団塊の世代、いわゆる戦後の第1次ベビーブームの人々が、今年は全員75歳を超える。いずれ日本人の5人に1人が後期高齢者の仲間入りを果たす一方、少子化で15歳未満が人口に占める割合は約1割。もはや国内における高齢者医療や福祉の需要が極限に達するわけだが、その時に何が起こるのか。

75歳以上の負担増

 まずは今年の秋、後期高齢者に該当する人たちを襲うのが、医療機関の外来窓口での負担額増大である。

「どんどん高齢化が進めば国全体の医療費も相当に増えていく。そのため患者さんの負担割合にも、見直しが必要になるわけです」

 と話すのは、医療保険に詳しいファイナンシャル・プランナーの内藤眞弓氏。

「75歳以上の方でも、所得に応じてもうちょっと負担してもらおうということで、21年の法改正で一定以上の所得がある人は1割負担から2割になりました。そうした方への配慮措置が今年9月末で終了となるのです。2割に変更されることで増加した外来負担額を3000円までに抑える措置で、本来2割負担の方でも1割+3000円で済んでいたのですが、配慮措置の終了で窓口で支払う医療費が倍程度に増えます」

 一応、これにも国からの配慮があって、1人当たりの外来の上限額が月額1万8000円までに設定された「高額療養費制度」が適用されると、それを超えての負担はないという。

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