石破総理もバックアップを宣言 5月に初開催「日本版グラミー賞」は「レコ大」を超える音楽賞となるか
MAJが日本の音楽シーンを変える?
そんなレコ大に代わる、大規模な音楽イベントとして期待を集めているのが、今年5月21日と22日に京都・ロームシアター京都で授賞式が開催される。「MUSIC AWARDS JAPAN(MAJ=ミュージックアワードジャパン)」だ。
同アワードは“アジア版グラミー賞”と位置付けられ、国内音楽業界の主要5団体である「日本レコード協会」、「日本音楽事業者協会(音事協)」、「日本音楽制作者連盟」、「日本音楽出版社協」、「コンサートプロモーターズ協会」が垣根を越えて新設した。
「かつてはCDを売るのが音楽ビジネスの中心でした。しかし配信がビジネスの中核になったことで業界団体が結束し、《もっとリスナーに音楽自体のファンになってもらい、音楽ファンとリスナーを底上げして、マーケットを拡大する必要があるのでは》と22年の冬頃から話し合いが行われてきました。米国のグラミー賞のような権威ある賞を日本でも開催することで関心と注目を集め、マーケットを広げていくだけでなく、世界進出を狙うアーティストが、受賞歴を名刺代わりにできるような賞にしたいという思惑もあります」(前出・音楽担当記者)
60以上の表彰部門を創設しているが。主要部門は「最優秀楽曲賞」、「最優秀アルバム賞」、「最優秀アーティスト賞」、「最優秀ニュー・アーティスト賞」、「Top Global Hit from Japan」、「最優秀アジア楽曲賞」の6部門。さらに細かく「最優秀J-Pop楽曲賞」、「最優秀リバイバル楽曲賞」、「最優秀ポップス楽曲賞」などジャンル別でも表彰される。
その審査方法は、アーティストを中心とした音楽関係者総勢5000人ほどによる投票に加え、音楽配信サービス・Spotifyの投票機能を活用して賞を決定する、「一般投票部門」が創設されることも発表された。ここに大きな“期待”が寄せられているという。
「これまでレコ大の審査は、投票結果は関係者しか知らず、選考過程を疑問視する声もありました。『日本アカデミー賞』は、各映画配給会社の社員ら数千人が投票権を持っていますが、こちらも投票結果は非公開。にもかかわらず、国内では最高峰の映画賞として位置付けられています。MAJが投票結果を公開するかどうかは明かされていませんが、音楽ファンが納得するような形にしてほしいものです。国のバックアップも受けているので、今後、盛り上がるために大々的にPR活動が行われることになることは必至です」(音楽業界関係者)
1月16日、東京・グランドプリンスホテル新高輪において「2025 CEIPA 音楽5団体合同新年賀詞交歓会」が開催され、MAJの成功に向けて関係者約3000人が結束を高めた。
その会には石破茂内閣総理大臣(68)が出席。「5つの音楽団体が、我が国の音楽文化と産業の更なる発展に向けて、新たな協力体制のもと未来へ向けて力強い一歩を踏み出され、本日、その門出をお祝いできることをうれしく思っております」と祝辞を述べ、「政府としてお手伝いをしてまいりたいと思っております」と全面的なバックアップを約束した。
「開催の目的は、日本をはじめアジアの音楽の世界への発信。また、日本の音楽をグローバルに誇れるカルチャーにすると共に、海外アーティストの日本市場への進出を促進するためというから、まさに国策と言えるでしょう。経済産業省(調整中)と文化庁が強力に名を挙げているのもその表れです。5月22日にはNHKで生中継され、YouTubeで全世界配信するといいますから、規模はレコ大とはケタ違いです」(同前)
さらには、MAJに音事協が賛同しているというのもレコ大の権威を大きく揺るがせることになりそうだというのだ。
「音事協はもともと、バーニングが中心となって設立した超強力な業界団体です。今後、音事協のレコ大への影響力は徐々にダウンすることになると思われます。となると、各レコード会社も、レコ大を独占中継しているTBSに対して、かつてのように協力的ではなくなるでしょう。音楽ファンも“ガチンコ”な投票方法で決められたMAJの方に、レコ大よりはるかに権威を感じるはずです。もし、MAJの主要6部門の受賞歌手が今年のレコ大のどの賞にも選ばれなかった場合、審査方法や中身について、レコ大への批判が殺到するのではないでしょうか」(音楽担当記者)