「悲壮感とは無縁で、お見舞いも断っていた」 森永卓郎さんの“最後の編集者”が明かす、情熱に溢れた生き様
1月28日、がん闘病の末に亡くなった経済アナリスト・森永卓郎さん(享年67)の“遺作”がこの春に出版される。刊行の裏に秘められた森永さんの覚悟と死生観を、最後の担当編集者が初めて明かした。
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「森永さんと最後にやり取りしたのは、亡くなる1週間前の1月21日。“腹部に転移してしまったので、本当にまずいかもしれない”との内容でした。2023年11月に“余命4カ月”の末期がんと宣告された際にも“来年の桜は見られないかもしれない”とのメールが送られてきましたが、その時以来の切迫感を伴ったものでした」
こう話すのは出版社「三五館シンシャ」代表で、森永さんの担当編集者でもあった中野長武氏だ。
溢れる情熱
同社発行の『ザイム真理教』と『書いてはいけない』はそれぞれ20万部を超えるベストセラーを記録し、著者の森永さんと“二人三脚”で世に送り出したのが中野氏だった。
「出会いは23年2月、私宛に届いた突然のメールでした。内容は“どこの出版社からも断られた原稿があるから読んでほしい”というもの。森永さんとはその少し前に、弊社の本を雑誌の書評で取り上げてくれたことに対する礼状を書いた以外に接点はありませんでした。驚きながらも送られてきた原稿を読むと非常に面白く、“うちで出しましょう”とすぐ返事をして生まれたのが『ザイム真理教』でした」
以来、わずか2年間で、中野氏が手がけた森永さんの著作は6冊を数える。ハイペースでの刊行を可能にしたのは、ひとえに森永さんの溢れる情熱とバイタリティーにあったという。
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